”ワインの栓コルクがロケットを守る”という時代の終焉 新たな材料で進化する!
地球の大気を突き抜けて、宇宙へ進むロケット
その過程、ロケットは超高速で進むので、表面温度は空力加熱:空気の吹き溜まりができ、その中の分子の活動が超活発に動く運動エネルギー⇒熱エネルギーとなり約300度ほどの高温になる。
その為、ロケットには耐熱対策が必要だ
ロケットの中には電子機器を多く搭載した人工衛星やロケット制御する機器を守る必要があるため、熱から守る必要があるのだ。
※僕たちが使っているノートパソコンなんかも電子部品の集合体なので10〜35℃での使用が保証範囲とされている。この時期、50℃以上にもなる車内に置いておくのがNGなのと同じ理由だ。
ロケットの骨格をなすものはもともと耐熱性能の高いFRP:繊維強化プラスチック
が使われているが、それだけだと不十分なので、さらに表面に耐熱の処理を施すことになる。
その一端として使用されているのがワインの栓で使われているコルク
でも、ロケット用のものはちょっと違う。耐熱性をあげるために密度をあげているので、ワインのコルク栓よりずっしり重い。(密度までは秘匿のところがあるので言えないが・・・・)
コルクが使用されているのはイプシロンロケット、海外ではヨーロッパ アリアン ロケットや宇宙機など。
日本の大型ロケットH2Aでは樹脂とセラミック製のマイクロバルーンが配合された特殊塗料を吹き付けている。マイクロバルーンが熱を反射することで守る。
これは10年くらい前に開発されていて、この技術は家の外壁塗装でも使われている。
GAINA(ガイナ)と言われ宇宙の技術が市場に出回っている。
(特殊塗料)
ちなみにスペースXの火星を目指す宇宙船 Starship(スターシップ)は外側は、ロケットの部材として使われる金属であるステンレス層を採用。
材料的にいうと台所のシンクなどに使われるの錆びない金属。
そして、ステンレスの熱の反射率の高さ&わずかな穴から液体を放出して周りの熱をうばっていく仕組みで乗員を守る
(StarShip)
コルクの欠点は外面に貼るのに手間がかかること。先の画像のようにコルクのシートを貼っていくわけだから、当たり前に人と時間がかかる”旧時代的な方法”なのは間違いがない。
スペースXのStarshipもこういった手間の理由からも、スペースシャトルのような断熱材の接着は採用せず、構造そのものでシンプルに耐熱を実現させていこうとしている。
やっぱり、イーロンマスクのスペースXはこのあたりの考え方が徹底している!見た目もステンレスそのものの表面が光り輝き、シンプルで美しい。
Mac book 表面のアルマイト加工のように。(アルミに酸化皮膜を作って腐食、傷を防ぐ処理。※ちなみにロケットでもアルミはよく使われる。表面は錆防止と塗装ののりをよくするため金色になる化成被膜処理がされる)
なので、日本のロケットの耐熱対策も次の手を!
ロケットの使いすて前提であれば、繰り返しの耐久性は求められない。
構造そのもので耐熱するのでなく、とにかく施工が楽な反射率の高い薄いもの自動で塗布して終わり(車の製造ラインのように自動アームが満遍なく吹き付け)かシールタイプの耐熱シートのようなものを貼るだけで終わりぐらいに格段に効率が上がる方法に挑まないといけない。
一番いいのは日本が得意としている複合材技術(ゴルフのシャフトや釣竿、車の内装などに使われる軽くて強度がある繊維と樹脂を混ぜて固めた材料)で、耐熱性をさらに向上させた材料開発をして、ロケットの構造そのもので外面に何もせず、全てをまかなうことが新たな進化の道だと思う。