ロケット打ち上げ”種子島宇宙センター”行って思うことは「進化」が必要
ロケット打ち上げ”種子島宇宙センター”は「進化」が必要
急きょの出張で何年ぶり、いや10年ぶりにH2Aロケットの打ち上げ場の種子島宇宙センター(TNSC:Tanegashima Space Center と僕らはよんでいる)を訪れた。
H2A 41号機打ち上げ成功の3日後。町には”ロケット打ち上げ成功”ののぼりがまだ残っていた。
実はロケットメーカーに勤めていても、仕事でそうそう"打ち上げ"は見れない。
実際、僕も打ち上げを現地で見たことはない。
打上げ作業で行く作業者・技術者以外は社長か重役ぐらいが見にいける感じ
今回は、一部ですがロケット打ち上げ準備作業やそれに対して思ったことを書こうと思います。
ロケット打ち上げ準備作業の実情は結構古臭い
10年前にはなかったスマフォや電子マネー、世の中の動きは早い。
打ち上げ準備作業やその周辺はどうなのだろうと思っていたけど、20年前にH2Arロケットうちあげ体制が出来上がった時とそれほど変わっていないのが実情だった。
モバイルがつながりにくい・・・
特に、すごく不便に感じたことはモバイルがつながりにくいいこと
僕はある作業の指揮で1日だけ行くことになったのだが、種子島の勝手がわからないので人に尋ねることだらけ。電話をしようにもいちいち外にでないとつながらない
危険なものを扱う場所は飛行機の機内モードのようにつながらないことはわかるけど、全般的に通信状態が悪かった印象
円滑な打ち上げ準備業務をする上で人とのやりとりが円滑にできることは必要なのになと思った次第だ。
”何かに書く”ベースが主体の作業
そして、会議室の予約が”掲示板に記載”とかなりアナログだったこともちょっと衝撃(いまどきはパソコンやモバイルで予約状況がわかるのが当たり前だけど)
わざわざ掲示板のところまで出向かなくてはならない。
製造の現場は建築現場のような雰囲気の”男の現場” 製造現場なんてこういうものかなとも思いますが、紙でのやりとりがまだまだ主体。ITとはかけ離れた世界。
では、今後どうすれば良いかを考えた
通信経路を確保せよ
危険物作業の場所は電波を飛ばすのはNGだと思うので、有線でよいのでパソコンも含めた通信機能を確保する。エリアにも黒電話的なものがあるだけど、ものをみながら会話ができないので有線を引っ張ってくるなどして作業や業務が効率よくできるようにする。
IoT(Internet of Thing)を使った効率と信頼があがる 打ち上げ準備作業
泥臭い部分は多少 残ると思うけど、物の管理などは紙に残すとか人が行うような仕組みはやめたほうがいい。
これも佐川急便がCMしているタグ管理などでものを識別してその情報を集めるだけ。
ロケットでは何万点もの部品が使われるけど、トラブルがおきたときにそれぞれのものがどんな素性であったかを後から簡単にわかるようにしておく。(これを今は人にたよっているので)
新しいH3ロケットは
・ロケットの値段を下げること
・信頼性を確実にする
ことがかかげられている。
信頼性が最優先のミッションなら人のミスを防ぐような仕組みをなおさら考えた方がいい。
また、エリア管理や完成したロケットを管理しているもの人がやっている。トータルでの人件費はどうなのだろう。長い目で自動監視などを考えていけば、今はその変換点なのではないかと。
それこそ、衛星データがリアルタイムになれば、”ロケット場を人工衛星で監視する”ことができるようになるはずだ。
打ち上げ場での作業は”現地採用・コンパクト”に
射場での作業は長期出張になることが多い。出張に行く人にはスキルも必要になるので、メンバーは結構固定されている。
なので、出張者は家になかなか帰れず疲弊していたりする。(僕のようにたまにならいいが、1年の半分もいっていたらそりゃ疲れる・・・)
なので、
①なるべく射場作業をコンパクトに
②現地スタッフで最大限できるようにする
ことがこれから更に目指すこと
①はなるべく種子島の作業を減らすようにロケットを製造している工場でユニットをつくりあげる。種子島ではそれを段々に組み立てて、点検すればいいだけにすればもっとコンパクトにできるはずだ。
アメリカのスペースXは最近もわずか63日後に次のロケット(”ファルコン9”)の打ち上げを行っていた。
きっと、上に書いたようなことはもうやっているはずだ。
②これは種子島で雇用が広がることにつながる。ロケット周辺の作業は結構、現地の方が働いているが、技術が必要なところはまだあまりいない。
製造メーカーが積極的に現地スタッフを採用し、製造している工場で技術を学んでもらって種子島で発揮してもらう。何年か期間はかかるがそういうサイクルはつくることはできる。
これから打ち上げる本数が多くなったらもっと威力を発揮するようになる。
2020年度にはH3ロケットの打ち上げがある。
僕がみえないところできっと進歩はしているのだろうけど、初ものはバタバタする。
上で提案したようなことまで手が追い付かないだろうけど、進めていかないとまだ”コストが高いロケット”になってしまう。
日本のロケット産業、宇宙産業はもっと自動車や物流(佐川やアマゾン)など他のジャンルから学ばないとならないことが多くある。
その為には、もっと他の産業や海外宇宙ビジネスの知識を吸収していくことだ。僕もこれからそういった転用できることを学んだら発信をしていこう。
新しいh3 ロケットの開発には”失敗は付きもの”というマインドセット
日本では新たな大型ロケット”H3ロケット”の開発が進んでいる。打ち上げが2020年度に打ち上げ予定でそこを目指して、急ピッチで開発が行われている。
僕もそんなロケットの一部たずさわっている。
はっきりは書けないが”試験をする度にどこかが壊れる”といったことが起き、2020年度中に打ち上げができるのか?がかなり心配になる状況だ。
開発中のロケットに限らずですが、新しいロケット、人工衛星の打ち上げではいつもこうでどこのメーカーが遅れるという手を挙げるかの”チキンレース”になることが多い。
正直、他メーカーが「間に合いません」となるとホッとすることも多い。
新しいロケットの開発は世界のどこでもこんな光景が繰り広げられているのだと思う。今でこそ、定期的に打ち上げしているアメリカ スペースXの大型ロケット”ファルコン9”もはじめは3度のロケットち上げ失敗をした後に今がある。
(ファルコン9の打ち上げ)
なので開発をするには、初めから”どんなに検討しても初めからうまくいかない”という心(マインド)を持っておくことが大切だと思っている。
そうすれば、変化に柔軟に対応できるからだ。
でも、人間の心理として余計なことはやりたくない、というか仕事が多い上にさらに多くなるは嫌だという感情が働いてしまうのも仕方ない
”そんな時はどうすれば?”
僕は行動でも”備えておく”ことが大切なのだと考えている。
問題が起こることをマージンとしてとっておき、スケジュールをあらかじめ余裕をもったものにしておく。
その為にもその他の仕事全体をザッグリで良いから全体的な目で見ておくことが必要だ。忙しかったりすると目の前のことしか目に入ってこないことが多いから気をつけないといけない。
具体的には「あのコンポーネントの剛性試験が3月〇〇日に予定されている、何か起きるとその対応になるのでそのあとに締め切りがあったものは先に済ませておこう」といった具合に。
そして、そういったことを考える時間を確保することをまずはじめにくる。できれば朝のだれにも話しかけられない集中した時間に考えるのがベスト(なので、僕は就業開始時間の1時間ほど前に会社にいってこのルーティンを行っている)
【新たなロケットでは】
そして、新しいh3ロケットで最も重要なものは”コスト”
やっぱり日本のロケットは高すぎて、世界のお客さんが手が出せないのだ。(日本の技術力の信頼性は十分だけど、やっぱりそれだけではお客さんにニーズを満たせない)
なので、いかに安くするかの要素が僕の担当する中でも反映されている
①買う材料を安くする
ロケットの製造原価の70%が他社からの買いもの。
まとめて注文して安くする、もっと安いメーカーを探す。宇宙用でない一般製品を試験して宇宙環境に耐えられるものを選定する
②パーツを少なくする
1万点があったら8000点のパーツにする
・組み立てていた20部品を1部品だけにする
・機能の縮小して部品を6割減らす
③作り方を単純にする
・②で部品が少なくなれば工程の手順は少なくなる
・試験の簡略にする(H2ロケットの積み上げから判断して)
H3ロケット全体では打ち上げ費用 80億から50億へコストダウンを命題にしている。
それでもまだスペースXの安さには勝てない。(人工衛星1kgあたりの値段はスペースX:24万円に対し、h3:33.3万円)
同等レベルにもってくるには打上コスト36億円程度まで抑える必要がある。
そこで【さらなる低減案】
宇宙チャンネルが考える案
・まとめて作る(製造ライン化)
これは作業習熟・作業改善・標準化などで最大20%の削減
ロケットでは部品購入が70%として50億×70%=15億円
15億円の20%減なので、3億円ほど
・内製化
外注品で最も高いものを自前で作ろうというもの。スペースXも実際にやっていたが、エンジンやロケットを制御する電子機器(航空宇宙業界ではアビオニクスとよばれている)を自分たちで作ってコストを抑える。
専門性があって”メーカーが限定される”場合はなかなかコストが下げられない。立上げは大変だが自分たちで作る。はっきりいって、そのメーカーのエンジニアや以前働いていたエンジニアをひっぱってくるぐらいしないとゼロスタートでは厳しい。
この内製化では外注費で高コストとなっているのはおそらく2割程度の製品が80%、28億円程度で先に出したエンジン・アビオニクスやロケットそのものの形をつくる特殊金属素材などでしめている。ここも2割程度削減で5億円低減を目指したい。
・海外メーカーをもっと活用する
オールジャパンでもいいけど、やっぱり人件費などのコストが製品に上乗せされなかなか値段が下がらないのが実情。海外のメーカー、特に日本は立地を生かして同じアジアのメーカーと品質面からもサポートして安い製品を獲得する。
調達の部門から上がってくるのは”品質”が一番先に出てくるからだ。ここを突破していかないと安いロケットに対抗できないと思っている。
【今から考えておくこと】
ロケットの開発は20年とか10年かかるの通常だ。先を見据えてどうコストを安くしていくかを考えて動くべきだと思っている。
そして、宇宙業界の動きも最近は特に早くなっている。
10年もたったらまた新たな安く品質の良いロケットがどこかの国で作られるようになるのでh3の先にあるものも見ていかないといけない。通常は改良型になるけど初号機を打ち上げていない段階からその改良型の動きも並行してい進めておくことが重要だと思っています。
【まとめ】
僕はなるべくトラブルなく開発が終わればと思っていたけど、”そんなことはありえないんだ”ということを改めて思っています。ロケットづくりだろうが何だろうが新しいことをやれば必ず失敗がある。
”失敗を許容するマインド”を常にもっておきたいと思います。
「台風被害で加入する保険金額はいくらが妥当なのか?」がわかるようになる衛星データの使い方
衛星データをつかった”世の中に役立って、収益につながるもの”のヒントを得ようと、先週、さくらインターネットが主催する”衛星データを使ったパネルディスカッション”に参加した。
これは前回のディスカッションの様子(出典:https://sorabatake.jp/8257/)
今回のテーマは「保険・金融」
大まかな内容は
①宇宙ビジネスで衛星データを使った分野が一番大きい(世界で7兆円だったかな?)
②衛星データで大きな要素は”何を見るか”、”時間経過での変化”、”空間(解像度)”
③世界での”保険・金融”分野での事例紹介
④ディスカッション:衛星データと地上でのデータの掛け合わせとデータ蓄積がカギ
といったもの
①はさておき、②の衛星から”何を見る?”は基本的には光(人間の目で見えるもの、見えないものも含めて 見えない光の方が多い)で農作物から反射する光で”どんな農作物がよく育っているのか”、”海ではどこで魚が好むプランクトンがよく発生しているのか”ということがわかる。
”時間経過”は最近よく起こる自然災害でどう変わったか?”山の地滑り”や”河川の氾濫”、また少し変わった観点では東京オリンピックにむけて、"国立競技場の工事がどう進んでいるか"など。
そして、”空間”は解像度。簡単にいうと画面の1ピクセルが何センチ、何メートルにあたるかだ。30センチだったら、車の車種も判別できるが、2メートルなら車があるかないかだけしわからないといった具合だ。
③の事例紹介では、なかなか面白い事案があった。
大雑把にいうとアイデアさえあれば衛星データといろんな掛け合わせができる。
”保険”ではアメリカでよく起こる山火事に対しての保険の事例
被害を調べるために活用しているが、データが蓄積されてきているので、どういった地域で山火事が起きやすいかが推測できるようになりつつある。
これを利用して、そういった地域に住んでいる人に適切な保険について説明することができるようになる。DELOSというこの会社の見込みでは全米で約1800万世帯が適切な保険に加入していないと算出している。
これは日本でも同じことに使えるようになる。これだけ自然災害、特に台風などの水害に対して災害保険に入ることが今後重要になってくる。
でも、”住んでいる地域はどんなリスクがあるか?、どのくらいの金額の保険に入ればよいのか?”がわかりにくい。
そこで、衛星データと過去の被害状況を掛け合わせればどんな地域、どんな地形だと被害が起きるリスクが高いかが精度よくわかるようになり、適切な保険範囲、保険額を説明できるようになる。
”金融”の例ではこれもアメリカのSPACEKNOWというベンチャー企業
アフリカ諸国の経済成長率は高いと言われているが本当にそうなのか?、投資に値するのか?ということから、「アフリカの都市でどれだけ夜間照明が広がっているのか」というデータで国の発展度合いを調べようとというもの
あとはコンクリートの施工率や道路の舗装率といったものでも経済成長が指標通りに発展しているかをみれるようになっている。
日本でも夜間照明は過疎化が進んでいるのか?、どの都市が発展しているのか?を可視化できる。
データから調べ、確からしさを確認し、店舗の出店計画や住んでいる人のサポートビジネスなどにも役立てることができるかもしれない
そんな中、”リスク”という観点でこんなことを考えた。
「時間経過とともに変わる海の底の深さを正しく観測できないか」
それはたまたまロケットの運搬でそんな事例があったからだ。
ロケットの打ち上げは鹿児島の種子島から打ち上げられる。
この”島”という点はメリットもありデメリットもある
メリットはJAXAのホームページなどでも書いてあるが、ロケットが使う燃料をよりすくなくできる点とそれに伴う安全面からだ。
ロケットを飛ばす時はより赤道に近いほうがいい。地球は約24時間で自転をしている。24時間で最大の距離を走っているのはもっとも径が大きい赤道になる。ということは同じ時間で最も距離をかせいでいるので速度が最大になる。イメージはこんな感じだ。
それともう一点、地球の自転は上図のように西から東に回っている。
ロケットの打ち上げもこの西から東の回転を利用したほうがよりロケットが加速できる。
また、東向きに打ち上げるので、万が一ロケットが落下しても人がいない東側が開けているところということでも種子島が選ばれている。
ちなみに僕も少したずさわっている日本の小型ロケット会社 ”スペースワン” 。こちらもそういった条件から紀伊半島の最南端 和歌山県串本町がロケットの発射場となっている。
一方のデメリットは島なので運ぶのが大変で、ロケットの機体といった大きなものを大型船で運ぶことになる。
となると陸路よりいろんなことに気をつけないといけない
例えば、天気。陸路であれば多少の悪天候は問題ない。だけど、海となるとそれが違ってくる。波が高ければすぐに船は欠航になって、1日2日のウェイティングをよぎなくされる。
また、ロケットの機体は毎日運んでいるわけではないので、ロケット機体を港から荷揚げをするときは近くの港を借りなければいけない。
そうすると、そこで普段から使っている主に漁業をやっている方たちと事前交渉が必要になる。
僕らがそこにお邪魔をするのだから当たり前だが、そういったところでも打ち上げ日の制約がでてくる。
そして、重くて大きいものを港で降ろす時は船が底付きしないように調べておかないいけない。普段はそんな重いものを荷揚げすることがないから、海底がそんなに深くなっていないからだ。
そこで”衛星データ”をつかった水深の調査”という方法がもっと確立されれば役に立つと思っている。これはSDB:Satellite Derived Bathymetry(衛星から届けられた測深)という手法が研究されていて、以前からサンゴ礁など浅瀬を船が通るときに世界で使われている。
これは海中や海底から跳ね返ってくる光を人工衛星がとらえてその度合いをデータとして測定することで水深がわかるといったものだ。(下図参照)
ただ、実用面では衛星データの精度や水質などによっても深さを測るのに影響があり、何十センチ単位までの精度までには上がっていないようだ。
潮の満ち引きで最大1m位は潮位が変わるので、最低でも1m以内の精度は必要だ。
今後は衛星データの精度もあがってくる。ディスカッションでも話していたが、衛星データだけでなく地上の既知データと衛星データの積み重ねで推測できる精度をあげていくことができる。
そして、この”海の深さをより正確に測ることができるようなる”ことは僕が好きなサーフィンにも生かせると思っている。
波乗りをしている人は知っていると思うが、「あのポイントは砂がついているから最近はいい」という話をすることがよくある。”砂がついている”とは海底が浅くなっているのでそこで波が立ちやすくなるからだ。
海が悪天候であれた後などは砂が運ばれてきて、底が浅くなり波がよくなったりすることがある。
海岸周辺のこの”砂がついて底が浅くなった”変化が衛星画像データからみれるようになるとどのポイントで波が立ちやすくなっているかがわかるようになる。そんな情報を波情報と共にサーファーに提供できるようになると、この情報を使って波乗りポイントを決める人には役に立つことになる。
「衛星データ×”〇〇”でいろんな使い方を想像して、試していくことが大切だ」というお話もあった。衛星データを使ったビジネスはまだ過渡期なので、掛け合わせでさまざまなビジネスが創出されてくると思う。
なので、アイデアができたらそれをアウトプットして試してみる、その繰り返しが”何か形になるもの”を生み出してくれる。それは10のうちの1かもしれないし、100のうちの1つからもしれない。それを探り当てるまで進んでいこう。
そして、このデータを利用するには最近何かと話題のPython(パイソン)というプログラミング言語が必要になる。パイソンは統計処理や数値計算を得意とするプログラム言語で機械学習などを得意としているので衛星データを集計・蓄積して、”どんな植物が生育しているか”などの答えを導き出すのに使われる。
まずはどんなもので処理するのかがわかっていないと衛星データでやりたいことができるわからないので、少し学んでいくことを第一歩にしよう。
衛星データを使った”賃貸物件選び”のビジネス提案の結果はいかに
先月、グループ会社内でビジネス提案の募集があり、僕は宇宙に携わっていることすがら、人工衛星のデータを使った”人の暮らしに役にたつ”ビジネス案を考え、提案した。
内容は
”衛星データを使った住むのに最適な賃貸情報の提供”
「賃貸物件と衛星データ?」と思うかもしれないが、実は使い道が結構あると思っている。
まずは空き物件を空から検知する。これは実は既知の活用法だが、人が暮らしているとよっぽどでない限りエアコンを使ったり、料理をすると熱が発生する。そこから発せられる温度は熱赤外センサーを搭載した衛星によって検知できる。
なので、人工衛星が毎日または数日おきにいつも同じ時間、できれば夕食時や仕事から帰ってくる時間に定点観測を行えば、かなりの確率でこの熱を検知し、人が住んでいるのかがわかるようになる。
実はこの熱赤外センサーは雲がかかっていると観測できない。ので観測頻度があがれば解消はできるはずだ。
仮に住んでいないくても、どのくらいの頻度で家に帰っているかなどがわかるようになり、別宅なのかどうかなどもある程度知ることができる。
空き物件は管理している付近の不動産会社が管理しているので、そこに確認すればわかるが、各不動産の情報を取集しなくても全国各地の空き情報がわかるようになれば、その手間が大幅に削減できると思う。
日本の賃貸不動産は約1900万戸。海外の不動産などにも活用できので、マーケットは”全世界”だ。
そういえば、公募でも”国内だけでなく世界で・・・”といったことが書いてあったな。そこも無意識にとりこんでいたのかもしれない。
不動産に関する”他の衛星データの使い方”として、もうひとつ提案を行った。それは”植物の生育状況や大気清浄度のデータ提供”
今は現代病とも言える”花粉症”や”ぜんそく”など大気に含まれる物質によって呼吸器官に症状が出たりする人が多くいる。
そういった方が自分の住む場所を考えた時、上のような「大気環境」を一つの条件にするのではないかと考えた。
人工衛星に搭載する機器で赤外線を検知するセンサーがある人間も植物も生物でないものもすべての物質はそれぞれ特徴を持った赤外線を発している。
なので、どこに杉の木があるかヒノキの木があるかと特定することができる。花粉症の人は「住まいの近くに多くの杉がある地域を選ばない」といった住まいを決めるポイントにもなる。
「あ、これは出かける時にも応用できそうだ」もうそんなアプリがあるかもしれないが・・・・・
そして、衛星では空中の大気の状態も観測できる大気に含まれる浮遊物質を測定でき、それによってPM2.5など大気清浄度が観測可能だ。
気管支など呼吸器系で症状を持っている人にとっては重要なポイントだ
「子供がぜんそく持ちなので、空気のきれいな郊外に住もう」と引っ越ししている人もいるかもしれない。通常、もちろん郊外や田舎は空気が綺麗なのだが、それが実際には数値として見ることができていない。
もっとも空気がきれいな地域はどこか?が数値化できればもっと比較しやすくなる。
このようなデータ(空き物件、植物生育状況、空気清浄度)を不動産会社に提供するビジネスを提案した。
このデータは時間とともに変わるので、観測やデータ整理のプラットフォームを一度作ってしまえば、継続的な形で提供していく。いわゆる僕らが使っているスマフォやWIFIの料金と同じ、継続課金システム(サブスクリプション)にできる点では収益性にも安定すると考えている。
提案では収益性、技術的な成立性、マーケットの大きさ、3年以内の事業化、資源などの内容が問われた。
そして、資源という意味で、”自社のロケットで衛星を打ち上げる”という点も加えた。強みは他メーカーから受注した超小型の人工衛星の打ち上げと便乗して、打ち上げコストを抑えられるとところにある。衛星1kgあたり:1億円とされているコストをなるべくさげるようにする。
それともうひとつ、グループで人工衛星そのものは作っていないが、人工衛星に載せる先ほど出たようなデータ取得用の機器を製造しているメーカーがある。そこの知見を生かして人工衛星ベンチャーと共同で人工衛星を作り上げる。大手にはないベンチャーの機動力・加速力を共に作ることで吸収し、大手企業ならではの重い腰を軽くすることも必要だ。
そんな提案の一次選考の結果はもうすぐくる。会社も本気で衛星データの活用を考えているようなので、この提案がその意図とうまくつながり、自分のビジネスを進める加速力になればと思う。
たとえ、採用されなくても自分で道を開いていこう!
”ワインの栓コルクがロケットを守る”という時代の終焉 新たな材料で進化する!
地球の大気を突き抜けて、宇宙へ進むロケット
その過程、ロケットは超高速で進むので、表面温度は空力加熱:空気の吹き溜まりができ、その中の分子の活動が超活発に動く運動エネルギー⇒熱エネルギーとなり約300度ほどの高温になる。
その為、ロケットには耐熱対策が必要だ
ロケットの中には電子機器を多く搭載した人工衛星やロケット制御する機器を守る必要があるため、熱から守る必要があるのだ。
※僕たちが使っているノートパソコンなんかも電子部品の集合体なので10〜35℃での使用が保証範囲とされている。この時期、50℃以上にもなる車内に置いておくのがNGなのと同じ理由だ。
ロケットの骨格をなすものはもともと耐熱性能の高いFRP:繊維強化プラスチック
が使われているが、それだけだと不十分なので、さらに表面に耐熱の処理を施すことになる。
その一端として使用されているのがワインの栓で使われているコルク
でも、ロケット用のものはちょっと違う。耐熱性をあげるために密度をあげているので、ワインのコルク栓よりずっしり重い。(密度までは秘匿のところがあるので言えないが・・・・)
コルクが使用されているのはイプシロンロケット、海外ではヨーロッパ アリアン ロケットや宇宙機など。
日本の大型ロケットH2Aでは樹脂とセラミック製のマイクロバルーンが配合された特殊塗料を吹き付けている。マイクロバルーンが熱を反射することで守る。
これは10年くらい前に開発されていて、この技術は家の外壁塗装でも使われている。
GAINA(ガイナ)と言われ宇宙の技術が市場に出回っている。
(特殊塗料)
ちなみにスペースXの火星を目指す宇宙船 Starship(スターシップ)は外側は、ロケットの部材として使われる金属であるステンレス層を採用。
材料的にいうと台所のシンクなどに使われるの錆びない金属。
そして、ステンレスの熱の反射率の高さ&わずかな穴から液体を放出して周りの熱をうばっていく仕組みで乗員を守る
(StarShip)
コルクの欠点は外面に貼るのに手間がかかること。先の画像のようにコルクのシートを貼っていくわけだから、当たり前に人と時間がかかる”旧時代的な方法”なのは間違いがない。
スペースXのStarshipもこういった手間の理由からも、スペースシャトルのような断熱材の接着は採用せず、構造そのものでシンプルに耐熱を実現させていこうとしている。
やっぱり、イーロンマスクのスペースXはこのあたりの考え方が徹底している!見た目もステンレスそのものの表面が光り輝き、シンプルで美しい。
Mac book 表面のアルマイト加工のように。(アルミに酸化皮膜を作って腐食、傷を防ぐ処理。※ちなみにロケットでもアルミはよく使われる。表面は錆防止と塗装ののりをよくするため金色になる化成被膜処理がされる)
なので、日本のロケットの耐熱対策も次の手を!
ロケットの使いすて前提であれば、繰り返しの耐久性は求められない。
構造そのもので耐熱するのでなく、とにかく施工が楽な反射率の高い薄いもの自動で塗布して終わり(車の製造ラインのように自動アームが満遍なく吹き付け)かシールタイプの耐熱シートのようなものを貼るだけで終わりぐらいに格段に効率が上がる方法に挑まないといけない。
一番いいのは日本が得意としている複合材技術(ゴルフのシャフトや釣竿、車の内装などに使われる軽くて強度がある繊維と樹脂を混ぜて固めた材料)で、耐熱性をさらに向上させた材料開発をして、ロケットの構造そのもので外面に何もせず、全てをまかなうことが新たな進化の道だと思う。
命の誕生に迫る惑星探査機の推進エネルギーもクリーンな時代に!
1997年、アメリカから一つの惑星探査機が打ち上げられた。その名は”カッシーニ”
「地球は太陽の中心を回っている」と”地動説”(この頃は地球を中心に回っている”天動説”が宗教上の観点からも根付いていた)に賛同した中世の天文学者”ガリレオ”が望遠鏡で土星をみてから約50年後、1675年に土星の環に隙間があることを発見したイタリアの天文学者”カッシーニ”から由来した名前をもつ探査機。
このカッシーニ、金星→木星といろんな惑星をスイングバイ(惑星の引力をうまく使って推進力を得て、他の軌道にうつる)わたりあるき、最後のたどりついたのが大きな環をもつ土星。
土星には60個以上の地球の”月”のような衛星があり、そのうちの2つの衛星 ”タイタン”と”エンケラドス”には注目が集まっていた。
その理由は、共に生き物の源となる”有機物(炭素が含まれた化合物)”があることがわかってきていたからだ。僕らの体にも骨にしろ筋肉、脳や内臓にしろ炭素:Cが含まれている。
カッシーニがタイタンやエンケラドスに接近し、いろんなデータを取得したことで有機物があることが証明された。ちなみに有名な写真はこれ↓ エンケラドスから岩石を含んだ塩水が吹き出している。この吹き出したものが、実は土星の環の一つになっている。
カッシーニの最後は2016年、その役目を終え、土星の大気圏に突入した時にはちょっとしたニュースになっていた記憶がある。
これらの星の内部ではもしかすると微生物のような”生き物”いるかもしれないと世界で研究がすすんでいる。
僕は探査機に搭載されたセンサーなど観測系の機器は自分の分野と離れているので、あまり詳しくないが、カッシーニを土星まで運んだ原動力:推進する力は液体燃料、今の人工衛星やロケットの姿勢制御などでもよくつかわれている”ヒドラジン”とよばれる燃料と酸化剤を混ぜ、燃焼ガスで軌道修正、姿勢制御を行っている。
でも、このヒドラジン、窒素と水素の化合物。アンモニアのようなにおいがし、引火性も高く、人が吸い込んだり、直接触れたりすると肌がただれたり、内臓の機能障害をもらたす”毒物”だ。実際に扱う場合は宇宙服のような服をきて厳重に取り扱われている。そうなると設備も専用化が必要で、実際に充填できる設備・場所は国内でも限られている。
なので、近年は先述記事に書いたような電気推進系、そして”低毒スラスター”というヒドラジンを使わない液体燃料の開発が進んでいる。
この低毒は具体的には消毒液:オキシドールの原料となっている過酸化水素や火薬の原料となっている硝酸アンモニウムと水やメタノールを混ぜたものといったようなものだ。毒性は低く少し肉厚なゴアテックスのようなものを着るだけいい、肌に触れてもずっと残るような炎症にならないものになる。
そして、機能を示す上で重要な比推力(少ない燃焼でどれだけの重さを飛ばせる力が出せるか)も新たな燃料で従来より上げる研究が進んでいる。
もちろん、電気で進む電気推進系スラスターも進んでいるが、やっぱり従来のある程度出来上がっている仕組みを燃料の中身をかえるだけですむ方が、スピーディーに人工衛星に搭載ができる。
はやぶさ2に搭載されたイオンスラスターは電気推進系スラスターなのだが、まだ、推進力の大きさという点では液体燃料の方が高く、これからさらに研究が必要なのだ。
自動車でも今は電気自動車の話題が大きいがバイオエタノールなどの液体燃料の研究も進めらており、2050年には約1/4がバイオエタノールなどがガソリンやディーゼルに変わる液体燃料になると予想されている。
そんな惑星探査、日本では次の大きな惑星探査として火星探査機が計画されている。これはMMX:Martian Moons eXploration(火星の月(衛星) 探査))とよばれる火星の衛星を探査してはやぶさのようにサンプルを地球に戻ってくるというミッション。
打ち上げは2020年代前半で現在、少しずつ動き出している。僕ももしかするとたずさわる可能性がある。その時にはどんな推進力が使われるのだろう。従来のものは安定性はあるが、より効率的になる液体燃料が使われることが火星探査では必要な気がする。こらからはきっと太陽系外を超え、探査がもっと進んでいくからだ。その時には少ない燃料、いや燃料は探査機自前で作りだす、星の光のエネルギーを変換し、推進力にかえていくようなものにならないと太陽系外へはでられない。
そして、夏休みということでちょっとした情報。
2019年8月12日(月)は月と土星の位置が最も近くに見える天体現象がある。
土星が下図のように地球の近くに来ている時期なので、よく輝いて見えます。
望遠鏡や双眼鏡があれば、土星の色や環も観察も可能。
多くの衛星を持つ土星は地球の約9倍の半径の惑星 アンモニアの結晶によって黄色い惑星に見えている。太陽のまわりを1周回るのには、地球の1年に対し、29.5年かけて太陽のまわりを一周している。
天体望遠鏡だと先ほどの衛星"タイタン"もみることができるので、お持ちの方は命の可能性を想像しながらみてみるとより星をみる楽しみが増えるかもしれない。
”分離→加速”を繰り返すことで、宇宙まで行けるようになったロケット、その分離する方法は?
最近では世界で大小問わず日常的に打ち上げられるようになったロケット
日本では大型ロケット”H2A",堀江さんが出資しているインターステラテクノロジーの試験ロケット "MOMO"など年間で10回ほど打ち上げられている。
ロケットが宇宙まで行くというと高度100km以上が宇宙という定義。
宇宙飛行士がいる”宇宙ステーション”は高度400km、東京→神戸間の距離ぐらいの高さです。
宇宙に行くにはロケットが地上に落ちてこない加速度 第一宇宙速度:7.9km/s(1秒で7.9キロ進む:東京から神戸まで1分とかからず行けるほどの超高速!)が必要になる。
では、その超高速をどうやってつくりだすのか?
下町ロケットなどを観た人はなんとなくわかるかもしれないが、ロケットは一番下の部分:ノズルとよばれるところから高熱で高圧なガスを発してその反作用で飛ぶが、その1回の燃焼でそのまま宇宙までいけるというわけではない。
通常のロケットは多段式で燃料を使い切ったらその部分を切り離し、質量を軽くし、得られた加速を保ったまま、次の少し小さなロケットが燃焼→加速を1〜2回ほど繰り返して宇宙へ到達する。なので、2段式か3段式のロケットになることがほとんど。
固体燃料を使ったイプシロンロケットでは第1段ロケットで2km/s、第2段ロケットで4.7km/s、最後の第3段ロケットで7.9km/sに達し、その後、人工衛星を分離し、地球を周回する軌道へ乗せる。
この多段式、”宇宙旅行の父”とよばれている約150年前のロシアのロケット研究者、ツィオルコフスキーが 発表した「ロケットの点火された時の重さと燃え尽きた後の重さの差が大きいほど、より大きな速度を得られる」という公式によって人類が宇宙へも行けるようになった。燃焼による超高速ガスを噴射して速度を上げたら、その部分はどんどん切り離しにより軽くすれば、加速度的にすすむことができることがわかったのだ。
このツィオルコフスキーもある物語にふれたことでロケットの道へ導かれた。それがディズニーシーのアトラクションにもなっている”海底2万マイル”や”十五少年漂流記”で知られるフランスの小説家 ”ジュール・ヴェルヌ”。その中の作品”月世界へ行く”を読んだことで宇宙への扉が開いたとされている。
そう考えるとそれぞれに宇宙への扉へのきっかけがある、僕の場合は子供のころに見た当時大接近した”ハレー彗星”をこの目でみたことから、”宇宙への道”が始まった。
ところで、1段ロケットと2段ロケットの分離、日本のロケットの切り離しで多く使われるのが、火薬を用いた分離方式だ。ざっくりというと1段と2段、2段と3段の間は、分割されたリングをボルトを組み付けてリング状にしている。その組み付けているボルトやナットが火薬を使って切断されたり、分離することでそのリング状がバラバラになり分離されることになる。
(1段ロケットと2段ロケットをつなぐリング)
この火薬方式、ダイナマイトのような爆発力のあるものではないが、火がついたら”ドン!”と一瞬なので、どうしても衝撃が出てしまう。そのため、人工衛星のような軽量化が必要なものの分離では火薬を使わない分離方式が主流になってきている。衝撃が少なければ、そこまで頑丈に作る必要がなくなり、軽くできるからだ。
それはラッチ機構と呼ばれ、簡単にいうと扉の開け閉めにも使われている下のような機構で電気やガス圧で開いて、分割リングを外していくことで衝撃がかからないようにしている。
アメリカをはじめとする世界のロケットではこの方式が主流になりつつある。
イーロン・マスクのスペースXではガスを使って、ラッチ機構を動かし、分離をしている。そういう点では日本のロケット開発では遅れをとっているところかもしれない。
しかも、火薬を使うとなると安全性の問題もある。飛行機にライターを持ち込めないように、安全性を考慮しながら運んだり、取り扱いでも注意が必要になる。
そう、現在開発中のH3ロケットでも火薬でサブロケットを分離方法から、ガスを使って作動させ、機械的に分離する方法を開発している。
ただし、全く火薬が使われなくなるわけではない。ロケットは万一、飛んでいる間にトラブルが発生し、制御不能になった時、被害が及ばないように空中で”指令破壊”をする。
指令破壊は地上局からその電波を飛ばし、ロケットがそれを受信すると、破壊するための火薬が作動する。それによってロケットが破壊され、空中で粉々になり、人が住んでいるようなところや海上の船舶などに落下しないようにしている。
こういった点ではより大きな安全を守るために、取り扱いは若干危険な火薬を使用していくことは変わらないのだと思う。
(ファルコン9 ロケット 指令破壊 (2015年))
ロケットは 秒速7.9キロでのGを受けながら、大気圏を超え、空気の抵抗がわずかな地点到達する。そこで、速度はほぼ一定となり安定した飛行が可能となり、人工衛星を予定の軌道に投入する仕事がしっかりできるようになる。
ビジネスで収益を得ることも、これと同じことがいえるのではと思う。初めはなかなか収益に結びつかない。しかし、ロケットのように進み続けていれば、”あれ?なんだか(収益が)コンスタントに出てきている”という日がくるはずだ。
そのためには絶え間なく大きな火でなくてもいいから燃え続けることが大切。その火を絶やさないように僕も進んでいこう!
日本のロケットは世界のロケットに対抗できるか(小型ロケット編)
本日は小さいロケットの話
人工衛星が小型化されどんどん打ち上がる時代
小型のロケットの需要も増えてきている。日本でも現在何社が小型ロケットの開発をしている。
後発組の日本の小型ロケットが世界で対抗できるかを考えてみよう
世界と日本の小型ロケット比較
テスラロードスターを打ち上げたスペースXのファルコン9のような大型ロケットがある一方、機能を絞った10センチ角のサイコロのような超小型衛星を代表とした小型衛星打ち上げの為の小型ロケットの需要が増えてきている。
大型ロケット:ファルコン9での打ち上げによるスターリンク計画(12000個のネットワーク衛星で世界をつなぐ)のような多くの衛星を打ち上げる場合は大型ロケットが適している。
一方、お客さんの希望に合わせて、すぐ打ち上がげられる需要も増えてきている。
そんな需要に対応するべく世界のロケットメーカーは小型ロケットの運用や開発を進めている。
そして、日本でも・・・・出資者が堀江貴文さんの”インターステラテクノロジー”、ロケットメーカー・建設メーカーなど4社の出資で作られた”スペースワン”がある。
それぞれで計画されているロケットは以下のようなもの
液体燃料で動くエンジンを何個か束ねて(クラスター化)して、衛星の軌道投入を目指す2段式ロケット。民生品と既知の技術をフル活用し、とにかく安く 皆が手が届くロケット提供がコンセプト。発射場は北海道大樹町
固体燃料で推進するロケットで3段式 で軌道投入を目指すロケット
キャノン電子・清水建設など4社が出資。発射場は和歌山県串本町
小型ロケットのコスト、打ち上げ能力などでまとめたものは以下の表になる。
日本企業が目指す小型ロケットも総合的に遜色はない、だが特色も打ち出せていないのも現実。
日本のロケットがビハインドな点
そして、残念ながら日本国内で打ち上げるのが打ち上げ位置の点でビハインドをおっている。
超小型衛星が地球を回る軌道は高度500km程度の低い軌道に載せ、何日かに1回同じ場所、同じ時間にある地点を通るような軌道になる。こんな衛星が多数あればほぼリアルタイムで地点の観測が可能になる。
打ち上げではこのような経路をとる。地球の自転の向きと同じ東向きに打ち上げ自転の速度エネルギーを打ち上げ速度を上げるのに利用することで、燃料の消費を抑える。
このエネルギーが1番大きいのが赤道で1周が地球の半径となる位置。地球が自転で一回転する24時間で1番長い距離を回っているので、速度が一番早くなるからだ。
ロケットを打ち上げる時もこの恩恵を受けないように赤道方向へ打ち上げる
日本は緯度が35度とやや高い位置なので、赤道近くに打ち上げ場所を持っている国に比べれば不利になる。
もっともロシアなどはもっと不利な位置から打ち上げているが、そこは打ち上げ料金、信頼性など違うメリットがあったから打ち上げ需要があった。
日本の小型ロケットが活路を見出すには
小型ロケットは国内の人工衛星ベンチャーとタッグを組んで世界でというか同じアジア圏でビジネスチャンスを作っていくのがいいと考えている。
”小型化して高性能”は日本企業の得意とするところなので、人工衛星の小型化で世界を一歩リードできれば、小型衛星ベンチャーがお客さんをとってくる。
そこに、国内製の小型ロケットがあれば、お客さんは日本以外のロケットメーカーを探す必要がなく、”衛星をロケットまで運ぶ”という面でも手間が省ける。
ロケットに搭載する衛星はロケット側とのインターフェースをチェックするなどがあり、お互い近いと場所にあった方が何かと有利なのだ。
そういった点で”お客さんをなるべく悩ませない「おもてなし」の提案をしていく”ということが重要
そのためにもまずは衛星データの使い方にあまり詳しくないお客さんに”自国でどのように使えるのか”をしっかりを伝えていく。農作物の効率的な栽培や自然災害から人を守るために衛星データの活躍の場はたくさんある。
価格や実績だけの比較では今後、日本で小型ロケットの開発が成功してもなかなか受注が取れないと思う。
日本独自の方法でお客さんを確保する術を身につけないといけない。
群馬高専の超小型衛星と群馬で作られるイプシロンロケットのコラボ
7/4のヤフーニュースにも取り上げられた上毛新聞の記事
昨年の12月にJAXAが公募した ”革新的衛星技術実証2号機のテーマ公募”で採択された超小型衛星は群馬高専と高知高専が主体となって他高専と一緒に製作をすすめているものだ。
テーマは漢字の羅列でわかりにくいが、要はこれからの宇宙開発で役に立つ”新たな技術提案、安く衛星をつくれるような提案”に対して、宇宙空間そのものでそれらがはらたくかを確かめようというもの。
群馬高専では主に超小型人工衛星の姿勢を制御するために開発された”小型リアクションホイール”が宇宙空間でうまく機能するかを実験する。
リアクションホイールとは人工衛星の姿勢が制御:傾かないようにするもの。傾きをセンサーなどで検知し、ホイールが回転することによって、反対側に戻ろうとする力:反作用が働き、姿勢が元にもどるというものだ。(下の図でいうと反作用で傾いた箱型の人工衛星がまっすぐに戻る)
ドローンは基本4つのプロペラがついているが、1つのプロペラだとプロペラの回転により本体が反作用を受け反対側に回転してしまうため、4つのプロペラは互いに反対方向の回転をして反作用の力を打ち消すことで本体を安定に保っている。
人工衛星であるとX軸、Y軸、Z軸と3軸をリアクションホイールで姿勢制御している。
超子小型衛星は10センチ角のサイコロ状のものでその名のとおり、とても小さくリアクションホイール自体もさらなる小型化が今後必要になる。
群馬高専の考案したものは今まで1/3程度の大きさで作られている。携帯電話がより小型化されたように、人工衛星も機能を保ちつつ、これから小型化へすすむ。
この点においてニーズにマッチした提案であったのが採択された理由だ。
この人工衛星、大きさからしてイプシロンロケットではメインとなる衛星が固定されている1段下の土台から放出されるのではと思う。高度は上空 約500km、宇宙ステーションがいる高度400kmより100kmほど高い位置になる。
この軌道に投入された衛星は1日 10数回 地球を回る。日本上空は定期的に何日かに1回を通過する。そこで、姿勢制御がうまく機能しているかの確認を行うかと考えられる。軌道はどうしても地球に近い分、空気の抵抗を受けるので、だんだん高度が下がってきて、衛星が使える寿命としてが数ヶ月~1年ほどで、その役割を終える。
イプシロンロケットに話を変えよう。イプシロンロケットはIHIエアロスペースが製造している中型ロケット。その拠点は群馬 富岡製糸場がある富岡市になる。
群馬高専で超小型人工衛星がメインで作れられた場合、ロケットとのインターフェースをチェックするのは同じ群馬県でできる可能性があり、近くでできるのは有利な点だ。
内閣府 宇宙戦略本部の計画では打ち上げ2020年の予定。新たなものを作るにはいきなり実機は作らず、試験品を作って地上でできる試験を行って問題ないことを確認した上で、実際にロケットに搭載する衛星を作ることが多いので、今はその試験品の製作の真っ只中かもしれない。
担当する高専生にとっては、”自分たちが作った衛星が宇宙に打ち上がり、近い未来の超小型に貢献する技術になるかもしれない”という思い。エンジニアとしてはとてもやりがい・充実感があるミッションだ。
この経験を通して未来の宇宙エンジニアとして僕を含めたエンジニアの後をつなげてくれる存在になってくれればと、この記事を見て率直に感じたので、それを期待して僕らも新たな宇宙開発の準備をすすめよう。
”子供のうちから宇宙エンジニアのベースを” 宇宙ちゃんねるが考える「理科で宇宙を考える」
”男の子の小学生がなりたい職業”で「宇宙飛行士・宇宙関連」は2015年の4位からは落ちたもののの、15位ぐらいとまだまだ上位にある。最近ではユーチューバー(6位)がかなり人気ですが・・・
その差は結局はお子さんの目にどれだけその職業が触れるかで決まっているのだと思う。会社員が5位になったのも、お子さんのお父さんがその職業だからだろう。
宇宙の話題はテレビ・映画・アニメなどのメディアで触れることが多い。宇宙飛行士やロケットを知る機会があるから、興味を持ってくれるお子さんがいる。
「その興味をもっと伸ばすことができないか?」僕はここ数年、そんなことをいろいろ考えてきた。例えば、ロケット作りの生の現場を小学生に見てもらって、実物の大きさを体感してもらったり、高校生がカリキュラムを通して人工衛星を作るプロジェクトを会社に提案したり。
でも、”安全”が第一に優先される風潮があり、そういった提案はなかなか通らず実現していない。それを行うことでの会社のメリットは”CSR:企業の社会的責任”ぐらいで収益性を見出せないからもあるだろう。
確かに、この活動を通じて、将来、会社に入ってくれるエンジニアの卵はできるかもしれない。だが、そこには10数年後と今の経営陣はもちろんおらず、収益をあげることが企業の本質なので、仕方ないかもしれない。
僕が収益性でもメリットがあるような良い提案ができていないのも原因だ。
そうは言っても、未来のロケットエンジニアは増やしていきたい。そうしないと、いつまでたっても欧米の後ろ姿をずっと追うことになる。今のように。アメリカなどではスペースキャンプなど大々的に行われていて、宇宙開発を学ぶ 広い門戸が開かれている。
日本での活動はどうだろうか?JAXAさんなどもコズミックカレッジのような宇宙を学ぶ機会を行っているが、少し盛り上がりに欠けている気がする。
やはり、何かもう少しエキスが足りないのでは?と思う。
例えば、小学校・中学校で学ぶ授業とのリンク。宇宙の不思議やロケットの仕組みを知るだけでも”感心”は得られるが、”学校の成績もよくなる”など、お子さん、そして、参加に付きそう親御さんへの目に見えるメリットが見出せていない。お子さんが興味をある宇宙・ロケットと理科や算数を関連付けられれば、科目の理解度も深まり、成績にも良い影響が得られるのではと思っている。
あとは、より深い実体験&実際の宇宙開発によりリアルに結びつくもの。人数が多いと内容がうすくなってしまうが、年代ごとにわけ、人数を絞って、より深い実験やものづくりを子供たち自身でやってみることで記憶にとどまり、さらなる興味を持ってくれるのではと考えている。
具体的には学年ごとに授業で学ぶ内容と宇宙開発で使われている技術や宇宙とはどんなものかを実体験を通して、体型的に学んでいくカリキュラムをつくる。
例えば、5年生では、磁力について勉強する。磁石そのものや針金で作ったコイルに電流を流すとそれが磁石になることを学ぶ。では、なんで磁石になるか?についてはあまり言及していない、原理は小難しいので大まかにいうと電気を流すことで物質の一番小さな単位:原子の中にある電子の運動により磁石のはたらきをし、N極とS極の世界:磁場が発生するしくみとなる。
今、宇宙への推進力となる力として、注目されているのが、”電気推進システム”というものだ。昔から研究はされているが、日本でははやぶさの”イオンエンジン”として有名になった。より、遠くの宇宙を目指す時代となり、今までの液体燃料の燃焼をメインした推進力では燃費が悪く、遠い宇宙にいくことが望めないからだ。
そんな電気推進系の一つに”ホールスラスタ”というものがある。
ホールスラスタはすごく簡単にいうと、円筒上に(コイルを巻いて)、磁場と電場を発生させ、そこに燃料から化学的に分解されたできた”イオン”を通して、加速させることで、宇宙探査機などの推進力を得る。このときにイオンを作り出すきっかけとなる電子は磁場と電場によりその空間を浮遊しながら回転しとどまっている。その電子により、燃料となる物質がイオン化される。
そこで、磁力がはたらいている場所で、電子は浮遊することをイメージできるようなものつくってみる。こんな感じだ↓。この実製作をとおして、より理解するといういったようなことだ。
そんなことを定期的に体験、学び、”なぜ”を考える機会を作り、ある意味”宇宙やロケットにはまっていく子”を作る。
小さいうちから職業の選択を狭めて良いのかという意見もあるが、どんな世界でも一流になるには小さいうちからのめり込むことが必要な時もあると思う。例えば、メジャーリーグで記録を塗り替えたイチロー選手のように、小さい頃から野球にのめり込んだように。
ロケットや宇宙機器作りの実際の経験を生かして、理科で宇宙・ロケットを考えられる。僕はそんな事業を立ち上げていきたい。
宇宙への長い旅 紫外線対策のように宇宙線対策が必要な話
宇宙旅行がニュースの話題にもちょくちょく出てくる最近、値段は非常に高額ですが、実際に行く人も出てくると思います。1週間とか程度ならよいですが、ほんとに火星に行くとなると短くても半年、往復では1年以上宇宙空間を旅することになります。
そんな時、宇宙での有害物質、”宇宙線の影響は大丈夫なの?”
解決をしなくとも火星やそれ以上の長旅に人類はいけるんですが、人体に影響を及ぼす可能性が高いです。
今回は
・そもそも宇宙線ってなに?
・どういう対策があるの?
について書いてみたいと思います。
宇宙線とは?どんな種類?
宇宙線とは宇宙空間を飛び交う放射線で空港の手荷物検査で使われるX線、陽子、重粒子などがあります。発生する原因は星の爆発により発生したと考えられています。
宇宙線のその成分はおよそ陽子が90%と言われています。
陽子は原子核に存在する物資で、原子核と電子から作られたものが物質として一番小さい単位:原子となります。陽子はプラスの電荷をもちマイナスの電子と釣り合っています。原子核と電子の数で物質が決まってきます。中2ぐらいの理科でならう周期表がそれです。(スイヘイリーベボクノフネ...今はこんな覚え方しないですかね)
中でも超高エネルギーな宇宙線の大きさは 10の9乗(eV:電子ボルト) 、これはテニスボールが80kmのスピードで体に当たるのと同じ威力です。
地球は大気:8-16kmほどの厚さの層(→水の厚さだと10メートルほどになるので、その深さの海底に地表があるのと同じ)と地球全体が磁石(磁場:地球の核が金属で回転(自転)しているため発生)となっているおかげで降り注ぐ宇宙線を吸収したり、宇宙線がそれていったりで、ほとんど地表には宇宙線はふってこないのでぼくたちは普通にくらしていけます。
人体への影響は累積影響です。放射線が体内に蓄積されるわけではありません。(X線など一部は吸収される)
なので、すぐさま病気になったりはしないが、高エネルギー粒子があたりつづけることでDNAが変異し細胞が変わり、がんなどの病気になる確率があがるようになる。
宇宙ステーションでの被曝量は年間200〜300ミリシーベルト(地上では年2.4ミリシーベルト)原子爆弾での被曝は8000ミリシーベルト(すぐ亡くなってしまうレベルの値がこれ)なので、宇宙に長期滞在している宇宙飛行士の方たちは、常に被曝量管理をしています。
今まで、かなりにの人数の宇宙飛行士の方がいましたが、その影響でガンを発症したような例はないです。
一方、探査機や人工衛星への影響は高エネルギーの宇宙線があたると電気回路に影響を及ぼす場合もあります。地球の周りをまわっている人工衛星のトラブルの約15%はこの宇宙線が原因で基盤・回路などに悪さをして起こります。
これからは火星に人類が行く計画がされています。その時は少なく往復で1年以上は宇宙空間を旅することになるので、被曝の堆積量はもっと増えます。
これからの対策は?
月や火星で暮らす場合は大気が薄すぎて宇宙線が地面に降り注ぐので、基本的に地下に生活することで宇宙線の影響を避けるようになるか、何らかの磁場を生み出して基地に宇宙線が入ってこないようにする。
どちらが簡単かと考えると、やっぱり地下で(地表だと火星の猛烈な砂嵐にあったりもするので)映画の世界のように広大な火星の土地に宇宙基地が建つのはあまり現実的ではないかなと思ったりします。(映画「オデッセイ」でも砂嵐のシーンがありましたね)
宇宙の1年以上に及ぶ長旅では、厚いもの(鉛など:密度が高い金属)で囲めば、人体に当たることがかなり防ぐことができるが、その重さは相当なものになってしまう。防ぐには1トン以上と算出されている。
そして、宇宙往復機が重くなると相当量の燃料が必要になる、現実的でないので、新たな宇宙線をさえぎる材料の開発か燃料の重さを最小限するかの二つになる。
はやぶさなどで話題になったイオンエンジンはより少しの燃料で動かせるエンジンだ。今までのような液体を燃やして推進力にするのでなく、燃料をイオン電子化にして、それを加速させその力で推進力をうみだす。
今はまだ推進力が弱いが、イオンエンジンのような電気で推進するものが今後、主力になってくるので、積まれている燃料がかなり減りその分、宇宙線をさえぎるために重さにつかえるようになるかもしれない。
宇宙線をさえぎるような新素材はどうだろう?密度が高いとその物質がより宇宙線を吸収するが重くなる。物質でさえぎるには限界がありそうだ。
鉛ほどではないが、今までの研究で水でもある程度のさえぎる効果がでている。宇宙機の中で水を身にまとうのは重力がなければそれほど不便ではないかもしれない。
また、宇宙機に地球が宇宙線を防ぐのと同じように磁場(シールド)を作り出すというアイデアもでている。ただ、あまり磁場が大きいと宇宙機の電子機器などに影響をおよぼすのでコントロールが必要そうだ。
宇宙機や探査機そのものが宇宙線を受けるについては、遮蔽対策に加え、冗長性(じょうちょうせい):ダブルソースにしておくことで機器の故障を回避する作戦はとられるだろう。ロケットや衛星などでも一般的な対策としてとられていることが多い。
僕はロケットやHTVなど、基本的にはそんなに長い間宇宙空間にはいないものを扱ってきたので、あまり宇宙線対策にはたずさわることはなかった。ただ、今後は日本でも火星探査機(MMX)や月面探査が計画されている。これにたずさわることがあるかもしれないと考えると、今後の宇宙線対策はどうすればよいかいろいろ案をだしていこう。
月・太陽の引力のおかげでサーフィンができる地球の海
わたし、宇宙ちゃんねるは会社でロケットを作っていますが、唯一の趣味で”波乗り”(正確にはボディボードにひざ立ちして乗るスタイル)を長年やっています。
最近は、海に行けるのは月1回ほどですが・・・(海なし県はやっぱり遠いので)
そんな、サーフィン。海の底の地形や風も影響してますが、サーフィンできる波がくるのは潮の満ち引きが大きく関係しています。
みなさんもなんとなくは知っているとは思います。この”満ち引き”は月と太陽からの引力が関係しています。
では、潮でも大潮(潮が大きく引くこの日がやっぱりねらい目!)、中潮、小潮、若潮、長潮とさまざまな種類がありますね。
これはどういった時に起こるのでしょうか?
今回はそんな”月と太陽からの引力と潮の関係について”書いてみたいと思います。
月・太陽の引力と潮の関係は?
月は地球の周りを約1か月(正確には27.3日)かけて回っています。地球と月はお互いを引っ張りあっています。いわゆる”万有引力の法則”(重さを持つものどうしは引っ張りあう力が働く)です。
また、地球は太陽の周り1年かけて回っており、太陽からの引力も受けています。
そして、月・太陽から引っ張られる力、”引力”が最大になるのが下の図の①のような時
地球→月→太陽という位置、月のあかりがまったくみえなくなる(太陽に照らされている部分が地球から見えない状態になる)新月のときです。
そしてもう一つ②のようなとき、太陽→地球→月という、太陽と月が全く反対になった位置に来た時、つまり満月の時です。
この時が大潮と呼ばれる時期です。
で、反対に一番潮の満ち引きが少ないのは太陽と月の位置関係が③か④に来た時です。お互いから地球(海面)が引っ張られるので、潮の差が最少になることがわかります。
そして、地球は1日24時間で地球自身が回転(自転)しているので、さっきの位置から90度変わった時は、一番潮が引いた状態:干潮になり、180度かわったときは、今度は地球が回転している遠心力が最大になって海面を引っ張ります。そこで、2回目の満潮が起こります。
なので、干潮と満潮の感覚は24時間の1/4のおよそ6時間ごととなるわけです。
実際のこの海面を引っ張る力:潮汐力(ちょうせきりょく)は先ほど出た万有引力の計算式をベースにしてはじき出されます→それぞれの重さと距離と地球の半径で決まります。
月と地球の距離は38万km(キロメートル) 月の重さは7.35×1022 kg(キロ)、地球は5.97×1024 kg、地球の半径は6378kmから計算だとおおよそ大潮の時の潮の差は最大で50cmぐらい、小潮だと28センチと、実際の潮の満ち引きより小さい値になります。
これは、実際には地球の重力や遠心力など他の力があるためです。なので、もっと大きい潮の差がでます。
じゃー、火星に海があったとした場合、波の高さはこの火星の衛星との潮の満ち引きによってどれくらいになるのだろうと思いました。
火星には地球と違い2つの衛星、”フォボス”と”ダイモス”があります。フォボスは火星から9000キロ、ダイモスは24000キロの距離です。
にある。太陽と火星の距離は2.27億キロ(太陽と地球は1.5億キロ)
丸い円軌道で回っているとして、これらを実際にその力(潮汐力:ちょうせきりょく)計算したところ、潮の満ち引きはゼロに等しい結果でした。火星にある2つの衛星が月の重さに比べて非常に小さく、また太陽から離れているので、太陽からの引力も地球が受ける引力に比べて1/100ぐらいしかないからこういう結果になりました。
また、違うパターンで太陽や月が仮になかったら潮の満ち引きは起こるか?
太陽からかなり離れた惑星は太陽の引力の影響はもっと小さくなるので、太陽系の一番遠い惑星、海王星の位置(太陽から45億キロ)に地球があるとして考える。(実際には温度:−220℃なので生物は生きていけませんが・・・)
地球は自転しているので、遠心力がはたらく、でも地球そのものの引力により海水は地球から飛び出すことなくどどまる。回転により常に遠心力が働くわけなので、地球のどこにいても海水は一定になるのだと思います。
どちらにしろ、海面の動きはとても小さくなりサーフィンができるような波がこない。ただ、風の影響で波が立つこともあるので、多少はできるかな。
と言っても、あまりにも寒いので、その前に海面は凍り、サーフィンどころでないですね。
月と太陽のおかげで波がたち、サーフィンができる地球
時にはそんなことを感じながら、楽しい自然現象を体感する
季節的にはちょうど良い時期になってきたので、もっと地球の海を楽しんできたいと思います。
はやぶさ2 インパクター(衝突装置)で使用されたような火薬類は今後の宇宙開発にどう使われる?
4月のはじめ、はやぶさ2に搭載されたインパクター:衝突装置が作動し、つい先日、クレーターがしっかりできている映像が公開されました。
クレーターを作る理由は報道でもある通り、小惑星の表面は長い年月、宇宙線などでさらされ変質が進んでいるため、小惑星が誕生した頃の成分を採取するには小惑星の内なる成分をとり、太陽系のできた46億年前の姿に迫ろうというものです。
小惑星でもこのリュウグウはC型小惑星に分類され、最も原始的をしている小惑星です。生命の源の有機物、それを知るため地球誕生時の姿を残している小惑星をしらべると”なぜ、我々が誕生したか”という謎を紐解くかもしれません。
実はあまり報道はされていないが、この衝突装置には全体システムとして僕らも携わっている。僕らが2014年におこなったころは”リュウグウ”という名称はなく、1999年発見されたことを示す「小惑星1999 JU3」
火薬を扱う製品は僕らの得意とするところでもあったからです。
衝突装置は火薬を爆発し、その衝撃で銅板を弾丸のようになり、クレーターを作っていました。つい先日、映像でもクレーターができていたことが確認されましたね。
インパクター:衝突装置では爆薬を確実に爆破させる方法として、電気的に点火したもの(起爆)⇨伝爆薬⇨爆薬とその動作は一瞬だが段階的に火がついていき、おこなっている。
これは大まかには固体燃料を使っているイプシロンのようなロケットの打ち上げでも点火薬⇒推進薬と同じような段階的な燃焼方法になっている。(こちらは爆発でなく”燃焼(燃やす”)
ロケット分離の方法にはこの火薬を用いた分離方式:(火薬を使ってボルトを切断し、1段と2段をつなげているリングを外す)が使われているが、火薬というのが厄介で安全の面から輸送や組み付けにはいろいろな制限がかかっている。日本では散弾銃などの使用でも適用されている”火薬取り締まり法”というもので規制されている。
また、火薬による分離は、火薬を発火して”ガツン”とボルトを切断するので、どうしても分離するときの衝撃が大きくなってしまう。
これは、精密な制御機器・観測機器等を搭載している人工衛星には不利になり、どうしても人工衛星自体をそれに耐えらるような構造、つまり”ごっつく”しないといけなくなる。つまり、重くなってしまうわけだ。
重いとロケットの打ち上げ能力も上げる必要があり、より打ち上げコストがかかってしまうことになる。
なので、近年のロケットは分離方法は”脱火薬”の動きが加速している。アメリカのスペースXの代表的なロケット、”ファルコン9"は空気圧を使った分離方法を採用している。
現在開発中のH3ロケットの分離方式はH2ロケットと同じく、火工品による分離が採用されるが、構造を大きく変えることで火工品そのものの数を減らすようにしている。
H3ロケットも分離部の火薬使用”ゼロ”で人工衛星にも、コストにも優しいロケットに進むべきだと思う。
早く新たな方法を模索して、いろんな面で”やさしいロケット”を考えていくのが、今後の自分も含めた、ロケットを開発している人のミッションになっていく。
これからの日本のロケットは、アメリカやヨーロッパ、世界のロケットに対抗できるか?(大型ロケット編)
今、日本では次期大型ロケット”H3”の開発がすすんでいる。
これは、現行のH2Aロケットよりも大型化し、より大きな衛星を静止軌道(高度36000kmで地球の自転を同じように動く軌道)に乗せる需要を実現させるためで、打上げコストも約50億円、射場での整備期間も現状の半分の26日をめざしている。(今のロケットの整備期間は発表されている53日が経験上、大体あっていますね。)
(H3ロケット)
日本は打ち上げの信頼性という点では、他国を上回っている。しかし、打上げコストや打上までの期間では後れをとっている。
そこで僕が知っている範囲とサイト等で調べられる限り、これからの世界のロケットについてもう少し細かく調べてみた。少し足りないがこの表の通り↓
コスト面ではイーロン・マスクが創業したアメリカのスペースXのロケット”ファルコン9”が打ち上げコスト30億と日本はじめ他の国の打ち上げコストを圧倒する安さになっている。
(ファルコン9)
これは
①なるべく開発費をかけない方法をとっている
②多く打ち上げることでロケットの製造をライン化
が安くできるとても大きな要因だとおもう。
①はファルコンヘビーではもっとも推力を必要とする地上からの第一段ロケットの推力を
既に開発済みのファルコン9ロケットのブースター(ロケット)を3本使っている。全く新たな仕様のロケットをはじめから作るには、大きな開発費用がかかる。
今まさにH3ロケットの開発が行われてるが、新たなコアエンジンの開発など、開発には地上での燃焼を確認する試験、強度が問題ないかの試験をほぼ同じ仕様のコンポーネントを作って行う。それが時には数回にわたるので、実際に宇宙に飛ぶ前の開発費用がどんどん増えてくる。
ファルコンヘビーは3本の同じブースターをつなぐのにも技術的な開発など、苦労はあったと思うが、そもそものものは出来上がっている。なので、なるべく安く開発が抑えられる。
H3ではそれぞれ違うコンポーネントの開発が行われているのでどうしても開発費があがってしまう。
実際には日本のH3ロケットの開発費は国主体での開発なので、この開発費が実際の打ち上げ費用に割りがけして、コストが乗っかることはない。しかし、国から開発費がでるからこそ、コスト意識が違うのではないかと思う。
スペースXでの開発費は実際の打ち上げ費用から何年かかけて回収になる。しっかりと打ち上げで利益を確保し、開発費を回収していかないといけないので、ブースターを再利用して打上げ一回あたりにかかるコストを極力減らそうと動きが働く。
H3ロケットでは実際の打ち上げコスト50億で低軌道(2000km以下)への打ち上げ能力は推測で15トン程度(現状の1.5倍)
今、すでに打ちあがっているファルコン9:30万(衛星1kgあたりのコスト)
H3:33万円(2020年以降打ち上げ)
の計算になる。
おそらく、ファルコン9は再利用ロケットの活用や量産がもっとすすんでいるので、数年後にはもっと安い価格になっているだろう。
H3ロケットができたころには価格で水をあけられているのではと思われる。
アマゾンの創業者 ジェフ・メゾフ氏が興したロケットメーカー ”ブルーオリジン(Blue Origin)”もブースターの再利用を前提とした大型ロケット「ニューグレン」を開発している。コストもファルコン9に近い低価格の打ち上げコストを打ち出してくるだろうと思う。
(New glenn ロケット)
H3ロケットはもう開発が結構すすんでいるので、”開発後の打ち上げ費用を更に安くするには?”を考える必要がある。
それはスペースⅩが低コストの為に行った②の
”ロケットの製造をライン化”
をすることに繋がるのだと思う。
今は、多くてロケットの年間打ち上げ回数は5回ほど、月産何百万台とつくる自動車の製造と違って、ライン製造というほど、効率的に製造されていないのが事実だ。
ある程度リスク(在庫リスク)をとっても、腐らないもの(基本ロケットはほぼ金属や成形されたFRP(繊維強化プラスチック:軽量で強度があるため、車の内装のパネルなどによく使われている)なので食べ物のように”腐る”ことはない。(一部、経年で劣化する材料を使っている)
経年で劣化して、性能が落ちるもの以外はある時期にまとめて製造して、製造コストを下げる。
できたものは、大きな倉庫に保管しておくなどのラインにちかい製造を行うべきだと思う。 そして、製造は誰でもできるようにマニュアル化されなければならない。
自動車のラインが忙しいと期間従業員でまかなうように、技量を必要とするところはごく一部で、それ以外は誰でもできるようにする。人件費を抑えるのも、安いロケットを作るための重要な要素だ。
あたりまえだが、1年に数回しか作らなかったら、ましてや何か月か空いて、つくっていると手順をまた確認しながらつくることになるので、作る時間の短縮ができなくなる。連続して作れば、おのずと覚えているので、段取りも含め、効率的に作ることができるようになる。
コスト以外での利点をうちだし、違うニーズを持ったお客さんをとらえるという違った視点での顧客確保という選択をするのがよいのではないかと思う。
実際の戦略も打ち上げ整備期間の短縮 53⇒26日でお客さんからの注文から要望の打ち上げ日の期間が短かった場合にフレキシブルに対応できるということを打ち出してすすめようとしている。
いろんなお客さんのニーズがあるので、ある一定の(柔軟な打ち上げ体制をもとめるお客さん)顧客をつかみ、使いやすさ勝負で世界で戦うのは生き残るためのある手段だとおもう。
そのためにも、すぐに打ち上げに対応できる”ロケットのつくりだめ”という作戦は重要なものになり、これからの日本のロケットビジネスでの戦い方としてやってみることを推し進めていきたい。
理科で宇宙を考える その1 天気がある地球 天気がない月や金星
理科で天気の授業があります。晴れや曇り、雨の様子を時間ごとに観察し、天気がどう変わっていくかを予測したりします。
大気がないとこのような天気も起きません。大気がほどんどない月のように。
地球は引力によって、窒素や水素を酸素を逃げないように保つことができる。月のように引力が軽すぎると地表から湧き出た気体はそこにとどめておくほどの重力を持たない為、宇宙空間へ放出されてしまう。
地球の約1/10の重さしかない火星も月と同じような状況で、星の重さが軽いため引力は地球の1/3,軽い気体はどんどん宇宙空間に放出され、やや重い酸素が残り、火星の表面の鉄分が酸化して表面が赤くなっています。
天気を見ていくと天気図の雲のはほぼ、西から東に動いています。九州で天気が悪くなると、次の日に関東も悪くなってくる。
雲はなぜ西から東にうごくことか?
これは”偏西風”と呼ばれる西から東に吹く風があるからです。
なぜこのような流れになるかは大まかにいうと
・大気の循環していること
・地球が自転している
ことでこの風がおきます。
赤道付近は太陽の熱で空気がもっとも暖められ気温が上がります。一方、北極や南極などの局では空気の温度が低くなり下降してきます。暖められた空気は冷たい極側へ移動し、冷たい空気は赤道側へ移動します。
しかし、いずれも途中で冷やされ、温められ、そこからまた、空気の上昇・下降が起こります。このようにして図のようなハドレー循環、極循環、フェレル循環とよばれる循環が起きています。
また、地球は自転しています。
赤道よりの場所は、北極よりの場所より、同じ時間でも距離がすすんでいる。距離が進んでいるということは赤道よりのほうが速度早いことになる
日本付近では上のフェレル循環で赤道よりの場所から北極よりの場所に風がふくことになり、北極よりの場所に到達する風が右にそれて到達することになる。(速度が速いところから遅いところにいくのでその分、右に進んだ位置にたどりつく。
これは コリオリの力と呼ばれています。
それが、雲が西から東に移動する理由です。
そうやって大気があるから、人間が生きていける地球、実は毎分180kgの水素と3kgのヘリウムを宇宙へ放出しています。これは太陽の熱や光が水素などに熱を与え密度が軽くなり上昇し、大気圏を超えて宇宙空間までいってしまうからです。
毎分180kgは地球の大気の質量:5.2×10^18(kg) からすると微々たる量なので、地球が火星のように大気がほどんどなくなるのは数十億年後。今はまだ、月面や火星に基地を作ろうという計画が動いている程度だけと、数十億年後といわず、数百年後には人間はどこか違う星や施設で暮らしていける未来になっていると思います。