宇宙ちゃんねる (Uchu Channel)

宇宙ちゃんねる(Uchu Channel)を通して現役ロケット開発者がわたし自身が語る、ロケット開発の生の声、宇宙や星に関するいろんな情報を発信しています。 そして、この発信からいろんな人に宇宙に興味をもってもらいたい、日本の自然科学・宇宙産業をもっと活発にしたいと思っています。

これからの日本のロケットは、アメリカやヨーロッパ、世界のロケットに対抗できるか?(大型ロケット編)

今、日本では次期大型ロケット”H3”の開発がすすんでいる。

これは、現行のH2Aロケットよりも大型化し、より大きな衛星を静止軌道(高度36000kmで地球の自転を同じように動く軌道)に乗せる需要を実現させるためで、打上げコストも約50億円、射場での整備期間も現状の半分の26日をめざしている。(今のロケットの整備期間は発表されている53日が経験上、大体あっていますね。)

 

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(H3ロケット

 

日本は打ち上げの信頼性という点では、他国を上回っている。しかし、打上げコストや打上までの期間では後れをとっている。

 

そこで僕が知っている範囲とサイト等で調べられる限り、これからの世界のロケットについてもう少し細かく調べてみた。少し足りないがこの表の通り↓

  

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コスト面ではイーロン・マスクが創業したアメリカのスペースXのロケット”ファルコン9”が打ち上げコスト30億と日本はじめ他の国の打ち上げコストを圧倒する安さになっている。

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(ファルコン9)

 

これは

①なるべく開発費をかけない方法をとっている

②多く打ち上げることでロケットの製造をライン化

が安くできるとても大きな要因だとおもう。

 

①はファルコンヘビーではもっとも推力を必要とする地上からの第一段ロケットの推力を

既に開発済みのファルコン9ロケットのブースター(ロケット)を3本使っている。全く新たな仕様のロケットをはじめから作るには、大きな開発費用がかかる。

 

今まさにH3ロケットの開発が行われてるが、新たなコアエンジンの開発など、開発には地上での燃焼を確認する試験、強度が問題ないかの試験をほぼ同じ仕様のコンポーネントを作って行う。それが時には数回にわたるので、実際に宇宙に飛ぶ前の開発費用がどんどん増えてくる。

 

ファルコンヘビーは3本の同じブースターをつなぐのにも技術的な開発など、苦労はあったと思うが、そもそものものは出来上がっている。なので、なるべく安く開発が抑えられる。

 

H3ではそれぞれ違うコンポーネントの開発が行われているのでどうしても開発費があがってしまう。

 

実際には日本のH3ロケットの開発費は国主体での開発なので、この開発費が実際の打ち上げ費用に割りがけして、コストが乗っかることはない。しかし、国から開発費がでるからこそ、コスト意識が違うのではないかと思う。

 

スペースXでの開発費は実際の打ち上げ費用から何年かかけて回収になる。しっかりと打ち上げで利益を確保し、開発費を回収していかないといけないので、ブースターを再利用して打上げ一回あたりにかかるコストを極力減らそうと動きが働く。

 

H3ロケットでは実際の打ち上げコスト50億で低軌道(2000km以下)への打ち上げ能力は推測で15トン程度(現状の1.5倍)

今、すでに打ちあがっているファルコン9:30万(衛星1kgあたりのコスト)

H3:33万円(2020年以降打ち上げ)

の計算になる。

 

おそらく、ファルコン9は再利用ロケットの活用や量産がもっとすすんでいるので、数年後にはもっと安い価格になっているだろう。

 

H3ロケットができたころには価格で水をあけられているのではと思われる。

 

アマゾンの創業者 ジェフ・メゾフ氏が興したロケットメーカー ”ブルーオリジン(Blue Origin)”もブースターの再利用を前提とした大型ロケット「ニューグレン」を開発している。コストもファルコン9に近い低価格の打ち上げコストを打ち出してくるだろうと思う。

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(New glenn  ロケット)


H3ロケットはもう開発が結構すすんでいるので、”開発後の打ち上げ費用を更に安くするには?”を考える必要がある。

それはスペースⅩが低コストの為に行った②の

”ロケットの製造をライン化”

をすることに繋がるのだと思う。

 

今は、多くてロケットの年間打ち上げ回数は5回ほど、月産何百万台とつくる自動車の製造と違って、ライン製造というほど、効率的に製造されていないのが事実だ。

 

ある程度リスク(在庫リスク)をとっても、腐らないもの(基本ロケットはほぼ金属や成形されたFRP(繊維強化プラスチック:軽量で強度があるため、車の内装のパネルなどによく使われている)なので食べ物のように”腐る”ことはない。(一部、経年で劣化する材料を使っている)

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経年で劣化して、性能が落ちるもの以外はある時期にまとめて製造して、製造コストを下げる。

 

できたものは、大きな倉庫に保管しておくなどのラインにちかい製造を行うべきだと思う。 そして、製造は誰でもできるようにマニュアル化されなければならない。

自動車のラインが忙しいと期間従業員でまかなうように、技量を必要とするところはごく一部で、それ以外は誰でもできるようにする。人件費を抑えるのも、安いロケットを作るための重要な要素だ。

 

あたりまえだが、1年に数回しか作らなかったら、ましてや何か月か空いて、つくっていると手順をまた確認しながらつくることになるので、作る時間の短縮ができなくなる。連続して作れば、おのずと覚えているので、段取りも含め、効率的に作ることができるようになる。

 

 コスト以外での利点をうちだし、違うニーズを持ったお客さんをとらえるという違った視点での顧客確保という選択をするのがよいのではないかと思う。

 

実際の戦略も打ち上げ整備期間の短縮 53⇒26日でお客さんからの注文から要望の打ち上げ日の期間が短かった場合にフレキシブルに対応できるということを打ち出してすすめようとしている。

 

いろんなお客さんのニーズがあるので、ある一定の(柔軟な打ち上げ体制をもとめるお客さん)顧客をつかみ、使いやすさ勝負で世界で戦うのは生き残るためのある手段だとおもう。

 

そのためにも、すぐに打ち上げに対応できる”ロケットのつくりだめ”という作戦は重要なものになり、これからの日本のロケットビジネスでの戦い方としてやってみることを推し進めていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

理科で宇宙を考える その1 天気がある地球 天気がない月や金星

理科で天気の授業があります。晴れや曇り、雨の様子を時間ごとに観察し、天気がどう変わっていくかを予測したりします。

 

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大気がないとこのような天気も起きません。大気がほどんどない月のように。

地球は引力によって、窒素や水素を酸素を逃げないように保つことができる。月のように引力が軽すぎると地表から湧き出た気体はそこにとどめておくほどの重力を持たない為、宇宙空間へ放出されてしまう。

 

地球の約1/10の重さしかない火星も月と同じような状況で、星の重さが軽いため引力は地球の1/3,軽い気体はどんどん宇宙空間に放出され、やや重い酸素が残り、火星の表面の鉄分が酸化して表面が赤くなっています。 

 

天気を見ていくと天気図の雲のはほぼ、西から東に動いています。九州で天気が悪くなると、次の日に関東も悪くなってくる。

 

 雲はなぜ西から東にうごくことか?

 

これは”偏西風”と呼ばれる西から東に吹く風があるからです。

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なぜこのような流れになるかは大まかにいうと

・大気の循環していること

・地球が自転している

ことでこの風がおきます。

赤道付近は太陽の熱で空気がもっとも暖められ気温が上がります。一方、北極や南極などの局では空気の温度が低くなり下降してきます。暖められた空気は冷たい極側へ移動し、冷たい空気は赤道側へ移動します。

しかし、いずれも途中で冷やされ、温められ、そこからまた、空気の上昇・下降が起こります。このようにして図のようなハドレー循環、極循環、フェレル循環とよばれる循環が起きています。

 

また、地球は自転しています。

 

赤道よりの場所は、北極よりの場所より、同じ時間でも距離がすすんでいる。距離が進んでいるということは赤道よりのほうが速度早いことになる

日本付近では上のフェレル循環で赤道よりの場所から北極よりの場所に風がふくことになり、北極よりの場所に到達する風が右にそれて到達することになる。(速度が速いところから遅いところにいくのでその分、右に進んだ位置にたどりつく。

これは コリオリの力と呼ばれています。

 

それが、雲が西から東に移動する理由です。

 

そうやって大気があるから、人間が生きていける地球、実は毎分180kgの水素と3kgのヘリウムを宇宙へ放出しています。これは太陽の熱や光が水素などに熱を与え密度が軽くなり上昇し、大気圏を超えて宇宙空間までいってしまうからです。

毎分180kgは地球の大気の質量:5.2×10^18(kg) からすると微々たる量なので、地球が火星のように大気がほどんどなくなるのは数十億年後。今はまだ、月面や火星に基地を作ろうという計画が動いている程度だけと、数十億年後といわず、数百年後には人間はどこか違う星や施設で暮らしていける未来になっていると思います。

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2019年 亥年にふさわしい?猪突猛進型 のイプシロンロケットの打ち上げは間近!

2019.1.18(金)

イプシロンロケット4号機は無事に7つの衛星を軌道に投入し、成功しました。複数の衛星があるとロケットとのインターフェース⇒フィットチェック(人工衛星との仮組み)はその分、回数がかかりますが、次回も多くの衛星を載せて、打ち上げていきます!

 

僕らが手掛けたイプシロン 4号機いよいよ1/17(木) AM10時前に打ち上げ予定、そのとき、リアルタイムでライブ映像を見ているだろうか。

 

イプシロンは今年の干支のように一度、火が付いたら止まらない固体燃料(火薬)の猪突猛進ロケットだ。

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今回乗せる衛星は7つ。3号機以前では一つの衛星を打ち上げていたので、今回は初めての試み。からくり時計のように次々と衛星を放出していく。

 

その衛星放出のタイミングは、実は猪突猛進型では難しい。なので、衛星をある高さまで固体ロケットでも持っていって、その後の衛星軌道投入は噴射量を微調整できる液体燃料による制御で固体ロケットの弱点を補完している。

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こちらの液体推進も僕らの技術で製作している。もともと、人工衛星の姿勢制御につかわれる同じような技術をもっていたので、この技術を転用してつくられている。

www.youtube.com


7個の衛星には、人口で流れ星を作る会社、ALE の衛星が積まれている。フェスなど一大インベントで流れ星を流すという ”エンターテイメント衛星”

 

流れ星を作る最適な高度に徐々に下降し、2020年 衛星に搭載された流れ星の玉を放出、流れ星を発生させる予定。宇宙も地上のようにカルチャーの要素を取り込もうという世界初の内容。

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宇宙の楽しみ方がひとつひとつと増えてくれば、もっと身近なものになる。

 

以前、結婚記念プレートを宇宙ステーションから放出するというビジネスの記事を読んだことがある。放出の瞬間を宇宙飛行士が写真に収めてくれるというもの。その後は徐々に高度を下げ、大気圏に入りプレートは燃えてなくなるそうだ。

結婚記念を宇宙に放出 日本で新サービスが登場 - Sputnik 日本

 

でも、どうせなら僕は燃えてなくならず、探査機につまれて太陽系の外、どこまでもそのプレートが宇宙を旅するほうがよいとおもった。結婚指輪のように、”どこまでもつづく”というほうが「宇宙のロマン」を感じることができる。”自分たちのプレートがはてしない宇宙を漂っている。もしかしたら、違う生命体がそのプレートを見つけるかもしれない”のほうがわくわくするのではないか。

 

現在はコストの関係もあって、すぐには難しいかもれ知れないが、そんなサービスができるともっと面白いと思う。

 

とにかく、宇宙にエンタ-テイメントの要素をすこしずつ加えていこう。

 

 

 

ロケットのネジを1つでも変えていこう!日本の宇宙開発のために

今、日本の宇宙開発より先をいくアメリカ、ヨーローッパ、中国に追いつくのにたりなり要素、世界のお客さんに使ってもらうのに必要な要素、それは

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コストです。

日本は技術力と言う点では世界トップレベル、打ち上げ成功率も約98%と信頼性は高いものを持っている。

しかし、今は宇宙開発でも世界的に民間企業がどんどん行っており、衛星を打ち上げたい企業にとっては、打ち上げにかかるコストがもっとも重要なロケット選びの1つの要素となる。

日本の次のロケットH3では現在のコストの打ち上げコストの半分:50億ほどのコスト目標ですが、世界と戦うには十分なコストでなく、おそらく、打ち上げが頻繁におこなわれる2020年代前半には同性能でもっと打ち上げコストの安いロケットが複数出てくる。

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日本に不足していることは、コストと開発スピードだと思っている。それは自分のいる業界をいうのもなんですが、国主体の官需体質が染み込んでしまっていて、家電などの純民間で養われているスピード・コスト意識が少ないのだと実感する。

宇宙業界にはその専門知識のベースが乏しくても、他業界からの人の流入を多くし、新しい空気を入れなければならない。

逆に僕らのような宇宙業界の人間が、他の業界に武者修行に行き、その温度差や商品開発のスピード感などを体感する必要があるのだと考えている。

僕はここ数年、宇宙業界で様々なロケットや宇宙機器作りに携わりながら、インターネットマーケティングについても学んでいる。時には自分で学んだことを試していることもある。この発信もその1つ。

発信することで少しでも流れを変えていきたい。

そして、やっぱり行動、チャレンジを数多くすることだろう。イーロンマスクの作った”スペースX”は今ではロケットメーカーの先端を走る企業に成長したが、それは日本の宇宙開発よりたくさんの失敗とチャレンジ(行動)を繰り返したから、今があるのだとと思う。

”ネジ1つでも変えていこう”は具体的にはロケットで使用されるネジは、ほとんどがアメリカから学んだロケット開発の流れを踏襲しているアメリカ軍事規格:MS(Miltary standard)、国際宇宙航空規格:NAS(National Aerospace standard)を使用している。

これらの部品はほとんど日本では製造されておらず、アメリカからの輸入品で特殊なものだと1本:1万円ほどするボルトもある。これを数百本使っただけでも文字どおり数百万のコストとなる。ロケットに使用されるネジは数多くの種類があり、ネジだけでも数千本単位の個数が使われる。

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もちろんロケットのコストとしてかかるものはアビオ機器:ロケットを制御したりする電子機器などがもっと高額だが、多く使われるネジ・ボルトもコストとしてはバカにならない数字になる。

そう、アビオ機器ももっと家庭で使われているような電子部品をフル活用して、コストを下げなければならない。そういった一般に使われている部品であればある程度の耐久試験はすでに行われているはずで、あとは宇宙空間を模擬した環境下での試験を行えば良い。

そういった施設・設備がないのであれば、政府機関の研究所が持っているような設備を無料で解放し、民間企業が自由に使用できるようにして、さまざまな企業が宇宙開発にのり出せるように仕組みを作っていけばいい。

いろいろ書いているうちに僕が取り組むべきことが見えてきたような気がする。

”さあ、既成概念を打ち破る新たな宇宙に飛び出そう”

 

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”下町ロケット”は終わりましたが、確かに近い未来の人工衛星の使い方はたくさんある

宇宙では、”下町ロケット”を結構、地でいっている宇宙ちゃんねるです。お客さんの多くは、帝国重工ならぬ、M重工ですし。

 

今回の下町ロケットも善悪がはっきりしていて、”胸が熱くなる場面”多かったですね。なので、みんな観たくなるんだと。あとは持って生きることがなかなか難しい時代にゆるぎない理念・信念をもっていることが胸を熱くする根幹なんだと感じました。

 

今回は、”農業”がテーマでしたがドラマで出てきた”農業の無人化”、実際に農機具メーカー大手”クボタ”の一面広告がありました、お正月の新聞で。広告は下町ロケットを意識したようなフレーズでした”宇宙で農業を”みたいな。実際の今回のドラマでクボタが全面協力しているので、当然かと思いますし、そうなっていかないといけないのだと考えます。

 

”ロケットを打ち上げる”って、ダイレクトには人の仕事や生活に結びつきにくいけれど、”宇宙へ運んだ衛星が、人の暮らしをよりよくする、豊かにする”に結びついているんだとドラマを見て改めて思ったことです。

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農業ではそのほかにも、作物の生育状況を衛星で管理する⇒画像認識で色を見分け確認したり、害虫でやられている範囲を見つけ、そこだけ農薬を散布するような技術も利用されています。特に画像衛星技術では一歩先をいっているアメリカでは多くの企業がビジネスにしています。広大な土地での農業がおこなわれてるアメリカではより利用価値が高く、日本よりビジネスチャンスになるのだと思います。

 

日本ならではの衛星による位置の把握や画像を役立てるには?

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”交通”という面で大きくできるのでは思っています。都市部では狭い道路、地方でも移動手段の重要な要素が自動車です。実際に行われているのは”自動運転”。日本は高齢化社会、4人に1人は65歳以上で、いずれは65歳以上が40%を占めます。運転する人の年齢層はあがるのに、一方で高齢者の運転に対し免許の更新など厳しくしないといけない。認識力が衰えて、やっぱり事故率が高いから仕方ない。

 

そこを補完するのが自動運転。ドラマのように正しい位置を補足できて、正しい地形データがあれば、運転操作は問題なくできると思われます。ただし、自動車の運転には信号、その他の車、バイク、自転車、歩行者などの多くの要素がある。その点も衛星からのリアルタイムで高解像度の画像があれば、危険予知もできるようになる。

 

今はずっとリアルタイムで画像を取得できる衛星がないんですけど。そう遠くない将来、それも出来上がります。アメリカをはじめとする各企業が百個、2百個という衛星を打ち上げて、地球を網羅しようとしているからです。

 

あ、これは何も高齢者向けだけではないですね。危険予知がもっと正確になれば、見えない位置からの急な子供の飛び出しもわかるようになる、宇宙の目人の目では見えないところにあるものも見えるようになるからです。

 

人口衛星の技術ではありませんが、信号の色も車についた画像認識などで即座にブレーキ、アクセルの切り替えができるようにもなるでしょう。

 

そして、もう一つの技術、AI:人工知能もどんどん発展すれば、自動車自体がもっとかしこくなる。衛星による位置・画像認識技術と自動車のAI化で人はいずれほとんど運転しなくてよくなる時代がくるのではないかと考えます。

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また、交通を仕事としている業種にも大きく貢献できると考えています。例えば、クロネコヤマト、佐川などの物流業。インターネット、特にAmazonの流通拡大で人出不足や配達料の値上げもありました。インターネット販売は毎年15-17%伸びをしめているのでそれに対応するにはひとだけじゃなく生産性も上げていかないと追いつかない。

 

その時に、人工衛星画像を使ったリアルタイム道路事情がわかると、常に最適な配送ルートで商品を届けられるようになる。また、忙しさの一因にもなっている不在宅への再配達。これもリアルタイムの画像認識で、その家の方が帰宅したことが即座にわかれば、改めて配達する回数を減らすことができる。

 

もちろん、ドライバーさんの負担を減らす自動運転も可能だ。こうやって、最大限の荷物をより効率的に配達することができるようになる。ほんとにこれはこれから必要な技術。

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一例だけでもこれだけあるので、他の業界でもどんどん使える技術があるはず。そう、人工衛星の使い方は大きく広がっていくことができると考えているので、次は行動、人工衛星の使い方をどんどん発信していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

国主体でもなんでもいいじゃない、とにかくロケットを打ち上げよう!

先日、国内唯一(運用していると言う面では)の中型ロケット”イプシロン 5号機”で打ち上げる人工衛星などが発表されました。

JAXAが公募した中から15件の案件が採用されました。内容としては大きく3つ

 

①ロケットに使われる部品や装置

ロケットと一緒に打ち上げて、環境や宇宙空間での部品の検証するもの。例えば3Dプリンタで作ったアンテナや民生のリチウムイオン電池など、これからロケットを安く打ち上げるために特別な部品でなく、普通に使われているもので耐えることができることを実験するものだ。

 

②超小型衛星

 載せる衛星は3機、こんな形の台座に3つの超人工衛星を乗っけて軌道へ放出する。主にはちゃんと動くかを調べるための衛星で、今、人工衛星の軌道上で問題になっているスペースデブリ(壊れた衛星や残材などの宇宙ゴミ⇒これが人工衛星などにあたると衛星が壊れてしまう)を捕まえることを実験したり、地表の画像をより高度に捉える赤外線を用いた画像をとるための人工衛星など、こちらも将来の衛星技術や宇宙活動を試すもの

 

キューブサット

キューブサットと呼ばれる10センチ角の超超小型衛星。ルービックキューブのキューブと同じで本当にあんな形です。サットは衛星:サテライトからきています。主に大学からの参加が多いがこちらも10センチと言うサイズが限定された機能を持つ衛星を試すもの。ロケットに欠かせない、よりコンパクトな誘導制御装置の開発といったものになリます。こちらは10センチ角の衛星がすっぽり3つほどはいる直方体の頑丈なアタッシュケースのような箱(画像だと小っちゃいけど、黄色い箱)に入れて衛星を放出する。実はこれは宇宙ステーションでも行われていて、特にアメリカが多くの衛星を放出している。

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いずれににしろ、民間企業からの衛星は注文ではないけど、まだ、3機しか打ち上げていない中型の固体燃料ロケット( 仕組みは花火と同じで火薬を燃やして飛んでいます)。作る上ではやっと安定してきたかなという感じ。とにかくに打ち上げ機会を増やして、少しでも実績を作り、ロケット少しでも数多く作ることでコストも抑えたロケット作りの気づきがでてくるようになる。

 

そして、この時代、やっぱり国によらず、民間企業としてお客さんを獲得していくことが必要になる。そのためには、たとえば ロケットメーカー自らが販売促進を進めていく必要がある。例えば、超超小型衛星のお客さんを公募する。そのもっともすぐれた未来につながるような提案の案件に対しては”無料で打ち上げます”ぐらいのことをやってもいい。

打ち上げの”無料”なんていうトピックは他のだれもやってないだろうし、話題性もある。日本だけでなく世界に発信すれば、それだけメディアにも拡散される。それを一過性でなく、継続して認知を広めるためには次の作戦でアプローチする。

僕が考えているのは、とにかくに国内での需要を掘り起こすために世界のありとあらゆる人工衛星を使った技術やその衛星を調べ、ヒントをばらまくように拡散していく。以前、世界の主要な人工衛星の画像などを使ったメーカ-50社を調べてみてもらったことがあった。とうもろこしの育成状況を観察する技術、洪水の情報を定期的に監視する、駐車場への車の出入り数からそのマーケットの売上状況をウオッチし、株価の売買に応用するなどほぼすべてのビジネスにかかわることができ、使い方は千差万別なのだ。さまざまな使い方を紹介すれば、そこから新たなヒント得て、新しい事業を立ち上げる企業がでてくるのではというのが狙いだ。

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 5号機の打ち上げ時期はまだ未定だが、今後より安く、早く作れるロケット作りに取り組んでいこうと発表を受けて、感じたことです。

 

その前にイプシロン4号機の打ち上げが来月1/17にせまっています。僕は打ち上げ場までいくことはないのですが、遠くから打ち上げの成功をいのりつつ迎えます。

 

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近いうちに人工衛星をつかってできるようになることのモデル案を考えてみた その①

 世界では民間の企業での大型・小型問わずロケットの打ち上げ、人工衛星の製造がここ数年、にわかに活況となっています。代表格はやっぱりスペースXで、皆さんもご存じではないですかね。火星へテスラモーターのロードスターを飛ばしたり、ロケットを再着陸させたり、最近ではZOZOの創業者 前澤さんがスペースXの月旅行の初めの旅行者になったことで話題になっています。

 

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人工衛星が急激に増えることで身近な私たちの生活にどういう変化をもたらすことができるか」そんなモデル案を書いていきたいと思います。

 

ショッピングモールでどこのスペースが空いているかぐるぐる回らないとわからない」という経験をおもに車が移動手段になっている方はしたことがあるのではないでしょうか。

 

そんな時、リアルタイムで宇宙から見た駐車場の空きがすぐわかったら。そして、自分の車の位置で最短の空きスペースがわかったら便利になるのでは。

お客さんは駐車スペースがなかなか見つからず、イライラしなくて済む。お店の側からするともしかしたら諦めて帰ってしまうお客さんもいるかもしれないし、お客さんがスムーズに駐車できればその分お店に早く入ることができ、お店の滞在時間を延ばすことにも貢献してくれるかもしれない。

また、ときには駐車場の取り合いでいざこざになることもあるかもしれない。それも空きスペースに一番近い人がわかることでなくなるかもしれない。

問題はこれから駐車場に入ろうとしている車と出て行った車の識別だ。でも、それも動画のようにリアルタイムの画像を撮り続けるによって、駐車スペースから出る車、入ってきた車の識別ができると考えている。

 

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そして、同時にバックビューモニタもいらなくなる。宇宙からの画像、自動車の真上からの画像を確認しながら、正確に駐車スペースに入れるように点線なんかで指示が出るようになる、さらには自動的にハンドルを持たずにバックでの駐車が誰にでも楽にできるようになる。

 

そう、もっと大きな問題の解決がでてくる。衛星からの正確でリアルタイム画像が撮れるようになると自動運転が間違いなく加速される。駐車や運転時のハンドル操作、事故防止につながるような自動運転技術となり、交通事故が激減されるはずだと思っている。お子さんの急な飛び出しもその画像で検知できるようになるのだから。

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そうするとどんなことが起こるか。ナビゲーションシステムは間違いなく衛生画像とリンクされ、道に迷うことがなくなり、最適・最短の経路で目的地につくようになる。最短で目的地につくことで人が使える時間が増えることになる。

交通事故が激減することで自動車保険に入らなくなる人が確実に増えてくると保険会社の収益確保が難しくなる。”ナビゲーションシステムの故障保険”といった違った形の保険ができるかもしれない。

また、自動運転により、最適な速度で走行されるようになり、ガソリンや電気の消費量が減少となる。ガソリンスタンドが淘汰されるようになるかもしれない。

運転時のエネルギー消費が減り、一人当たりのカロリー消費量も減るかもしれない。その余ったカロリーが、何かを想像することに使われれば、よりイノベーションをおこすようなビジネスにつながるかもしれない。

 

”車の運転を楽しむ”人には良いが、仕事のために運転している人や目的地にいくために運転している人にとっては、車の運転というは適度に体を動かすわけでもないし、”実にもったいない行動”なのかも知れない。それが、”自動運転で運転することがほぼなくなる”ということは、移動手段として日本人が使ってきた、徒歩(体を動かすからよいかも)→馬→自転車(これも体を動かす)、そして”自動車の運転”というもしかしたら最ももったいない行動をなくす画期的な進歩になるのではと。

そのためのリアル人工衛星画像について、いろいろ調べておこう。そして、このアイデアを実現するにはどう行動すればよいかを決めていこう。ぱっと考えられるのは小型の人工衛星を数百機単位で飛ばす計画をしている衛星メーカーにアプローチして画像処理の技術に詳しい企業にアプローチして、それをつなげて自動運転技術を推し進めている自動車メーカーとともにそのシステムを構築していくことが具現化する最短かもしれない。

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 そして、小さな人工衛星が100,200飛び回れば、街に設置されているカメラの必要なくなるかもしれないし、宇宙から監視されていることで犯罪が減らせることもできるのでは考える。反面、プライバシーは宇宙から見えないところでなら、守られるかもしれないが、外だとすぐわかってしまうようになる。あんまりいい言葉ではないけど宇宙から”管理される”ことで世の中全体にとってはよいことの方が多くなるじゃないかなと思う。

 

 

 

 

 

ロケットの打ち上げ前の機器の異常はどうしてなくならないのか?

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天候不順で打ち上げが延びていたH2Bロケットの打ち上げが推進系の異常で打ち上げが直前で中止になってしまいました。具体的には液体酸素の圧力を調整するバルブが既定の圧力に行かない前に圧力が抜けてしまう事象になったということです。会見でもあったように正常の圧力がかからないと液体燃料が規定どおり供給できない→宇宙へ飛び出す推進力がでない→打ち上げ失敗につながります。

 

車も時々リコールが起こりますが、車の種類の割にはそれほどリコールが出ない。ロケットはまだまだ生産している絶対数が車と比較にならないほど少ない、つまり”経験””実績”が少ないので、こういった事象が起きやすいんだと考えています。 言い換えると、”技術が成熟していない”ということにもなると思います。

 

推進系統の異常”というとよくあるのが、今回もあったように配管やバルブからの漏れです。漏れがなぜ起きるのかは

・接続部の取り付け不備

・パッキンやOリングの欠陥

なども考えられますが、そこは組み付ける時にしっかり見ているかと思います。

そうすると

・金属溶接の箇所からの漏れ

がけっこうありうる原因です。

僕はロケットの骨組みを作る構造系と言われるところの金属の溶接技術を担当した事が有ります。かなり高い強度を要求される箇所であり、その特殊な硬い金属をしっかりもう一方の金属と溶接(厚み分が全て溶接されるまで)する必要があり、高い温度で溶接しないといけないものでした。材料がもつ限界近くの温度で金属どうしをくっつけていきます。

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しかし、そこまで上げると熱がかかるところが、急に冷えて金属組織が粗大化し、溶接のさかい目で”割れ”が出やすくなる。イメージは細かい砂と10円玉ほどの石が隣合わさってくっついているような感じになってしまいます。組織の大きさが違ってくるのでその部分がもろくなっている。そうすると圧力がかかった時にそこからヒビが入って漏れてしまう。それを防ぐために金属をあらかじめ予熱しておいて急に冷えて組織がおおきくならないようになどの工夫をしています。

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ロケット、宇宙機の開発には新たな材料の開発が不可欠で、この辺りは化学の範囲になってきますが、どんどん新たな材料が開発され、上のようなロケットを作るうえでの問題点を解決してくれる材料の登場、それが宇宙開発がすすむ大きな一歩になっていくんだと思います。

 

一生に一度は。ロケットの打ち上げをリアルで見たい!

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打ち上げの情報など、SNSで発信していると「ロケットの打ち上げをリアルで見てみたいと言うコメントをもらうことがあります。世界だとそれぞれの国やロケット燃料が少なくて済む赤道付近での打ち上げ場所があるのですが、なかなか海外まではと考えると日本国内、実際にはロケット打ち上げ場所としては鹿児島の2カ所になります。(インタステラ―テクノロジーはまだ試験機なので省きました)

一つは種子島、島なので宿が少ないのが難点。打ち上げ時期は宇宙関係者でいっぱいだったりするので、宿が取りづらいというのと、島なので渡る手段は船(トッピー)か飛行機とちょっと手間ですね。

ということでもう1箇所が同じく鹿児島 肝付町内之浦、鹿児島の外れだが陸つづき、宿も取りやすいかと。(近くが空いてなくも陸つづきなので走れば宿はある)

また、ロケット打ち上げには延期がつきもの、どうしても天候(上空の氷結層や雷の発生確率があると延期に)やロケットのトラブルなどがやっぱり少なからずある。そういった点でも内之浦から打ち上げるのは固体ロケットのイプシロン、液体燃料を使うロケットに比べると液体配管系のトラブルが少ない(というか衛星の姿勢制御で使われているがそれ以外では液体燃料はつかわない)ので、打ち上げ延期のリスクがそういう点で少ないと思います。 

また、もし打ち上げが延期になった時も、種子島だと島一周はほどなく終わってしまうので、そういった点でも内之浦はちょっと足を延ばせば”桜島”も近いなどといった観光の面でよい点があります。(個人的には”サーフィンポイント”(波乗りもやりますので)が多くある種子島は好きです。板と波があれば好きな波のりを一日中できますので)

 

9月に入り、イプシロン4号機の打ち上げの準備も始まりつつあります。人生初の”ロケット打ち上げ”を見たい方は、4号機の打ち上げに鹿児島 肝付町に足を運んで見てはいかがでしょうか。僕も準備万端整えます!

 

 

 

 

これからの宇宙への人類移住計画を考えてみる。

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最近、髪を切りにいつも行っている美容院のオーナーに

『宇宙のブログ書いてますよね、いやーすごいですよね』

『ブログ、内容ってわかりやすい?』

『・・・・』

ということで、読んでもらう人にわかりやすく書かなきゃ(じゃなきゃ全然伝わらない)と思い、今回は僕とオーナーの会話して、想像して書いてみたいと思います。

 

(宇宙ちゃんねる) ”SFみたいだけど、人類移住計画があるの、知ってる?”

 

(オーナー)         ”いやー、知らないですね~、ほんとにできるんですかね?”

 

(宇)      ”そう、次のスティーブジョブスっていわれている、起業家のイーロン・マスク、僕と同世代なんだとけど、それでイーロン・マスクは本気で移住計画をやろうとしているんだ。マスクの自伝みたいなのよんだけど、ほんとにマスクは世の中を変えようと動いているだ、ジョブスが作ったiphoneが世界を変えたみたいに”

 

(オ)    ”それで、人間はどこに移住するんですか”

 

(宇)     ”火星だよ。宇宙はめちゃくちゃ広いから、間違いなく宇宙のどこかには地球と同じような環境の星、きっと生き物もすんでるほしがあるけど、今の人間の技術じゃそれを探すことができない。今はやっと探査機が太陽系の外にいってるぐらいだから、宇宙から考えたら、地球にある全部の海の砂のひとにぎり、いや一粒ぐらいかもしれないぐらい小っちゃいからね。なので、地球のすぐ外にある火星、水も地下にねむっているから、『開拓』すればすめるようになるといわれいる”

 

(オ)   ”フツーにすめるようになんですか、宇宙服着ないで”

 

(宇)   ”それはもっと先だろうね、少なくても百年はかかるといわれている。地球では問題になっているフロンなどの温室効果ガスを作って、植物などの生き物が生きていける温度にする。温室効果ガスは火星にたくさん化学工場を作り、火星にある成分でフロンなどのガスを作り出す。これだと酸素マスクはつけなきゃだけど、それ以外はフツーに暮らせるようにできると。火星で植物を育て、大気の酸素の量を増やして、大気をつくり、大気でおおわれると生き物が住める温度になってきて、雨が降り・・・なんていうと何万年という長い道のりがかかるからね”

 

(オ)  どのくらいでいけるんですか、火星までは?

 

 (宇)  "火星まではどんなに早くても今は数ヶ月、これをもっと早く行けるようにならないと”

 

(オ)  ”やっぱり時間かかりますね〜”

 

と会話形式もすこし想像力がなくなってきたので、もっと短い期間でいけるようになるには今の推進力よりも爆発的な推進力を生み出す方法、いまだと核融合の力が一番それを生み出しますが、やっぱり放射線が問題。放射線を遮断できる材料で考えると逆に重量が重くなって意味がなくなる。ということで、軽量かつ放射線を防ぐ材料の開発が費用なんですね。

 

他には地球との交信の問題、他にも太陽を挟んで地球と火星となると通信ができなくなるから中継所みたいなものも作らないと。

 

いろいろと課題はありますが、地球以外に住める場所を作っておくことは人間が生きるのびるためには必要なんだと思います。数百年後、火星に住む人たちのために、今のひとつひとつの開発が役にたつのだと思いながら、一歩づつです。

 

 

 

 

 

 

 

 

15年ぶりの火星大接近は終わったが、実は8月はある意味見ごろ

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ニュースでも火星大接近って最近やってましたよね。前回は2003年、ちょっと調べたらこの年に六本木ヒルズはできた年でした、見たぐらいで行ったことまだ、実はないですが。火星は地球のすぐ外を回っている星なんですが、火星の1年は地球の約2倍なんで火星の1年は地球の2年分をかけて、太陽のまわりを回っています。太陽のまわりを回っているから、地球と火星が同じような場所にいるのは約2年ごとにやってくるのですが、太陽のまわりを回る軌道は下の図のようにかたよっているので、もっと近づくのは15〜17年ごとな訳で、それが今回でした。

もっとも離れている時の距離は約4億キロ、7/31の最接近で5759万キロ、地球の直径が1.3万キロなんで、近づいたといってもめっちゃ遠いです。今はとっても輝いてるので南の空に赤い明るい光の星をみれます。ちなみに赤くみえるのは火星の表面は鉄分を多く含んだ土なので、鉄ってさびると赤茶色っぽくなるじゃないですか。あれと同じです。

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タイトルの”なぜ 8月は見頃”かというと8月以降は小学生でも起きている夜の8時くらいから見えるようになるんです。7月は星の高さが低すぎてもうちょっと遅い時間いならないと見えなかったんですが、8月は地球の位置が動いてくる(1年で太陽のまわりを回ってるので)のでもっと早い時間から火星が見えるようになるんです。(火星ももちろん太陽のまわりを回っていますが、地球の方が早く回るのでより見える時間が早くなる位置関係になります)

 

なので小学校のお子さんがいる方も、いつもよりひときわ赤い惑星から、夏休みの絵日記のネタにしてもよいと思います 。

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”宇宙での機動力”も電気エンジンの時代になる。

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最近はそこそこ電気自動車を見かけるようになりましたね。まだまだ、ガソリン車なのでちょっと調べてみたところ、完全な電気自動車は新車として販売される0.5%ほどの割合でした。でも、確実に電気自動車にかわる時代はやってきます。”イーロンマスクは世界の電気自動車年間販売台数を1億台にする”、1億台は年間の車の販売台数ですから、つまり”全てを電気自動車にする”と言っています。予測では2030年ぐらいではガソリン・軽油の車が30-50%の販売、電気自動車30%を占めるようになるとされています。まだ、ちょっと先ですが、こんな車のながれ、宇宙ではもっと早くそういった流れがつくられるそうです。

今まで、人工衛星や惑星探査機などの姿勢をかえたり、違う惑星に行くための”宇宙での機動力”は液体の燃料を化学反応させることで、高温のガスを吹き出し、その反作用で衛星や探査機がすすんでいきます。ちなみに液体の燃料は1種類の液体だけで触媒をつかってガスをふきだすもの、2種類の液体をたしてその化学反応でガスを吹き出すものがあります。あっ、”触媒”って覚えてますか?僕もおぼろげにしか覚えてなかったけど、中学の理科でやったやつです。ビーカーに黒い小さな玉みたいな二酸化マンガンをいれ、その上から過酸化水素を流し込むと、すばやく水と酸素になり、ぶくぶく酸素がたまっていく。その実験の二酸化マンガン”触媒(化学反応がはやくなるように助けるもの)”です。学校で習う『理科と宇宙』はこんな風につながっています。

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そして今、宇宙で盛んに行われているのは電気を使って進んでいくもの”電気スラスター”と呼ばれているもので、わずかな燃料で遠くへとばすことができる。そうすると何がいいか?

”燃料をちょっとしか使わないので、より遠くの宇宙へ出かけられる”、太陽系を超えて、銀河系へ旅立てます。新しい宇宙がみれるかもしれない旅へ進めます。きっと、この技術はいずれ、人も運べるくらいパワー(威力)をもち、僕らを太陽系から解き放ってくれると思っています。そして、少ない燃料なので、やっぱり機体が”軽くなる”、重い荷物をもって旅にでるのは燃費をくうだけですから、より軽いほうがいいです。

電気スラスターってどうやって?とおもうかたにざっくり説明。図のような筒の中でイオン化されたものが筒の中で加速され飛び出すことで推進力をうみます。他のロケットや人工衛星が進むのと同じ、反作用で進んできます。(これも中学生の理科でならう”作用反作用の法則”)

 

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こうやってみると学校でならう理科と宇宙開発はいろんなところでつながっています。当たり前といえば当たり前ですが。改めて、宇宙が好きな子にこんなことを伝えられたら、もっと理科を好きになって、未来の僕、いや、未来の天才ロケット開発者が作れそうな気がしてきました。

 

 

 

 

 

 

 

【宇宙×エンタメ】 ”人工流れ星”をつくる!人工衛星できることが増えてきている

タイトルを見て”流れ星”で人工でできるの?っておもったひとがほとんどかもしれません。年に何回かニュースで「今週はしし座流星群がよくみえます」なんていうのがありますし。流星群→流れ星は地球が1年かけて太陽を1周するある場所に”彗星が通った軌道に落ちたチリやゴミ”があってそれが地球に落ちてくると流れ星になるので、毎年同じ時期に流れ星が現れるんです。

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それを人工で作る場合はどうするか?

まず、流れ星のものとなる”玉”(残がい(チリなど)にかわるもの)を人工衛星につんでロケットで打ち上げます。(ここで使われるのが僕も作っている”イプシロンロケット”)ロケット打ち上げ後、人工衛星は地球の周りをまわる軌道に投入されます。よい時期がきたら、人工衛星から計算された速度、スピードで積んでいた玉が発射されます。

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その玉は猛烈なスピードで落ちていくので、玉の前面には大気が思いっきり集まります。大気がおしくらまんじゅう状態になるんです。そうするとどうなるか。おしくらまんじゅうと同じで、大気が集まっているところは温度が上がります。おしくらまんじゅうだとあったかいですが、超高速の大気の集まりはその中で大気がめちゃくちゃ動いているので、超高温になります。その運動しているエネルギーが光のエネルギーに変わって、輝き=流れ星を作り出します。

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そういえば、アニメなんかでよく頭を打つとその周りで光がとんでいますね。あれってまさにこの流れ星と一緒で、衝撃→光のエネルギーになっているのを表現しているのかもしれません。そして、この光のエネルギーは発射された玉の成分が元となるので、玉の成分で光の色をコントロールすることも可能なんです。試験ではある程度、予想された色が出ているようですが、あとは実際の宇宙で確認してみてのお楽しみだそうです。

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この人工流れ星、人工衛星を打ち上げてるんで、やっぱり、お金はかかります。億単位であることは間違いないです。大きなイベント、たとえばワールドカップとかオリンピックなど、花火じゃなく”流れ星”で彩るなんていうことができたら、めっちゃスケール感が大きくなりますね。

 

こんな風に人工衛星の使い方がいろいろ増えてきてます。いま、盛んなのはSAR(合成開口レーダー)衛星といって、レーダー(電波)の跳ね返りで地表を観測する精度が上がってきて、昼夜、雲がかかっているに関係なく地表をよりよく細かくみれるようになってきました。近いうちに地表に見えるもの全てがリアルタイムでより鮮明に見えるようになってくる時がきます。

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そうすると今までできなかったことが、どんどんできるようになってくる。僕が今いろいろアイデアを考えているのは、

水位がリアルタイムでわかる”これによってもっと早く避難の警告を伝えることができる。(洪水で亡くなる人を減らしたい!)

”土砂の動きをリアルタイムで感知する”(こちらも予兆の動きがあれば、土砂崩れで亡くなる人を減らせる)

道路の陥没をリアルタイムで知らせる”(その道を通ろうとしている人にいち早くしらせることができる、アプリとかで)

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海やプールでおぼれている人を早く見つける”(監視員でなくても、”宇宙からの目”の精度があがればできる可能性あり)

混雑時のパーキング最適案内”(ぐるぐる空きスペース探しや駐車場めぐりをしなくてもすむようになる!)

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ショッピングモールの駐車場の埋まり具合で売上を予測する”(アメリカではすでにあって投資の指標として使われています)

などなど、今までは人がみてチェックしていたことがたくさんできるようになる。そんな企画を一つでも実現して近い未来の”便利””安全”を作り出していけるよう歩んでいきます。

 

 

 

 

 

 

インターステラテクノロジズ 民間ロケット打ち上げ失敗で感じた日本の宇宙産業にかけているもの

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先日、実業家の堀江貴文さんが出資している宇宙ベンチャーインターステラテクノロジズの2号機ロケットが失敗したときに知人から

「ロケットの打ち上げ失敗ってこんなもんでしょうか?」と質問がありました。

 

ロケットの開発では基本設計→詳細設計、そしてプロトタイプモデルなど何段階かの開発品フェーズを得て実際に使用までもっていくんですが、それぞれの段階で有識者によるレビューが必ずあります。

新しい、若い開発者が気がつかないようなところを知識と経験のある技術者の目からその設計が問題ないかを確認を。そんな関門を経て、仕様が決まったら開発品はロケットの使用環境に耐えられる、宇宙空間に耐えられるさまざまな試験を行います。

 

ロケットのエンジンだと

燃料となる液体や気体が漏れないかを確認する”漏洩(リーク)試験

エンジン部品がロケット飛翔時の振動に問題なく動くかと確認する”振動試験

そして、実際に開発したエンジンが正しく燃えるか、燃えている時に異常に温度上昇している箇所がないかなどを確認する”燃焼試験”があります。

メインの試験はこの”燃焼試験”です。一番試験費用かかりますが、実際のものとほどんど同じものをで燃焼させますので、模擬試験では得られないリアルな結果が得られるので重要です。

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今回もこういう流れは踏んでいるのかもですが、少し開発ステップの仕方や今までの知見などの点が弱いのかもしれません。

 

確かに宇宙開発に限らず、開発時には失敗はつきもの(というか失敗の数のほうが多いはず)なんですが、液体燃料を使ったもっと大型のロケット H2AなどはJAXA、三菱が開発し、何十回も打ち上げし、安定して成功しています。ロケットの大きさや使っている液体燃料の種類の違いはあれ、技術的に共通している部分は多いはず。

 

なので、JAXAやロケットメーカーが持っている技術を共有して、なるべく打ち上げ失敗となるリスクを減らしていくことはできるのではないかと思っています。それぞれが持っている固有の技術を秘密を守ると言うことも大切なことだと思うのですが、世界で宇宙開発で遅れをとっている日本では、そんなことは言っていられないのが現実でじゃないかなと感じています。

 

アメリカの宇宙ベンチャーとして既存メーカーをおびやかす存在となった”スペースX”もボーイングなどの優秀な技術者を引っ張って、今までではありえないスピードでロケット開発をして成功してきました。(最近、イーロンマスクの本を読んでそのことがよくわかりました。もちろん開発の段階で失敗も多く経験しているのも事実です。)

 

宇宙ベンチャーでロケット技術のキャリアがある元開発者などを雇用するのは資金面でもなかなか厳しい事情もあるなら、オールジャパンで協力して、これからニーズが高まる小型ロケット打ち上げ競争に立ち向かっていく必要があると思います。

宇宙ちゃんねるも宇宙ベンチャーの事情をきいてみて、何かできることがあればやっていこうと。自分の目指すところ:”日本を宇宙先進国に”の一歩になればと思います。 

はやぶさ2 小惑星リュウグウ到着で地球とのデータのやり取りは何分かかる?

はやぶさ2”小惑星リュウグウへ到着です。 

地球との距離は3億キロ。画像の通信は望遠カメラが小惑星リュウグウをとらえた映像はこんな感じでニュースになっていましたね。

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3億キロは地球のすぐ外を回っている火星と地球の距離が標準的に2.3億キロ、そのさらに外の木星までの距離が7.5億キロなので太陽系の中で移動になっていますんで、思っていたよりはるか遠くとではないです。が、2014年年末の打上げから3年半、3億キロの旅をしてきました。時速でいうと

3.5年:365×3.5=1277.5日×24時間=30660時間

300000000キロ÷30660時間=時速9784キロで進んできた計算になります。だいたい東京―大阪を4分弱で移動する感じです。ロケットの時速(28400キロ)よりは遅いですが、地球上では考えられないような速さですすんできました。 

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そして、交信で使われている周波数は

8ギガヘルツのXバンド

32ギガヘルツのKaバンド の2種類を使っています。

電波は光と同じ電磁波の一種なので、1秒間に約30万キロすすみます。

周波数の違いで1秒間に送れるデータ量が変わってくるので、32ギガヘルツのほうが

多いデータを送れます。

 地球との距離が3億キロですから、電波が届くまでに

300000000キロ÷300000キロ=1000秒

1000秒÷60秒=16.7分かかります。

※ 2019/2/21 訂正 計算が一桁間違っていました。

ちなみに

コマンド:地球からはやぶさ2へ交信

テレメトリはやぶさ2から地球へ交信

という言葉で表し、宇宙業界ではよくつかわれます。ロケットでも飛んでいる現在位置をテレメトリ機器が搭載されているので、その信号を拾って方向制御していたりします。

 

また、データはスマフォの”パケット”同じくパケットとしてデータをおくります。

パケット:データの単位です。

地球から送るコマンドは最大1000bps 、はやぶさ2側からのテレメトリが最大32768bpsですんで、インターネットで”1ギガ(bps)”の通信速度などと言っている量からくらべるとても小さな量を送るようになっています。

 

僕もたずさわった”再突入カプセル”は2年後の地球帰還まで続きます。”宇宙の昔の姿”が捉えられるようなサンプルを持ち帰ってくれればと思います。

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