宇宙ちゃんねる (Uchu Channel)

宇宙ちゃんねる(Uchu Channel)を通して現役ロケット開発者がわたし自身が語る、ロケット開発の生の声、宇宙や星に関するいろんな情報を発信しています。 そして、この発信からいろんな人に宇宙に興味をもってもらいたい、日本の自然科学・宇宙産業をもっと活発にしたいと思っています。

人は生身でどのくらい宇宙にただよえるのか?

先日、スターウオーズ 最新作をみた方からこんな質問を受けました。

”人間は宇宙服無く生身で宇宙空間に投げ出されると体が破裂して死んでしまうのですか?”(あまり詳しくは書きませんが、映画中、人間が宇宙空間に投げ出されるシーンがあったようです)

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皆さんはどう思いましたか?先に書いたように

①体が破裂して死んでしまう。

②宇宙は相当寒いので凍死する。

宇宙線に体がやられて死んでしまう。

など、いろんな意見があります。(ちなみに僕は有害な宇宙線でやられてしまうの③と考えていました)

 

実際には”窒息して死んでしまう”というのが正解です。

 

大気がなく無酸素なので呼吸ができないので、10秒程度で意識を失います。(脳に酸素がまわらなくなってです。真空で空気がない事も原因ですが、真空で気圧がないため、肺は酸素に圧力がかかっていないと吸収できず、その結果、脳や血液に酸素がいかなくなる)息を止めていても良いのですが、宇宙には気圧がないため、肺の中の空気が膨張してしまうため、吐き出さないと肺が膨張した空気で破裂してしまう可能性があるので、口は開けたままにしなくてはいけません。(NASAの緊急用の手順書にも口を開けることが書いてあります。)空気を吐き出したら、肺に空気(酸素)がなくなるので息をすいたくなりますよね。でも、空気がない、あったとしても肺に圧力がかかっていないため、脳に酸素がいかず、10秒ほどで意識がなくなります。ちょっと想像しただけでもこわいですね。

 

①体が破裂して死んでしまう。 

大気圧がないので人間の血液が沸騰し、気体となるので膨張して破裂するなんていう事も言われたりしていますが、実際には血液にも”血圧(心臓によって送り出された血液が動脈の壁を押す力)”と言う圧力がかかっているので、大気がない(気圧がない)としてもそうなることはありません。

ただ、先ほどの肺の空気を吐き出さないと膨張してしまうために口を開けますが、

口の中の水分は圧力がかかっていないので、すぐ蒸発してしまうと考えられます。

水分の蒸発は水であれば、水が沸騰する温度100℃で上記になりますね。これは私たちが暮らしている地球 大気圧:1気圧の場合です。地球上では下のように大気圧があるので、常温では抑えられているため100℃にならないと蒸気になりません。

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宇宙空間は真空なので気圧がありません。気体になるのをおさえる圧力がないので、体の水分は蒸発してどんどん蒸発して奪われていきます。口を開けているので、一番早く蒸発をかんじるのは口の中の水分、特に敏感な舌の水分の蒸発を感じます。

 

では、体の中の血液は気化しないのか?というとそうではありません。人の最低血圧って80mmHgぐらいですね。その血圧が:47mmHgぐらいまで下がると血液が沸騰(圧力が低い為、気体になりはじめようとする)してきます。なので、そこまで血圧が下がった状態になると血液などが気化しはじめるので、体に気体がどんどんたまってきて、膨張します。およそ2倍くらいに膨れ上がりますが、皮膚や血管はその膨張に耐えられるので破裂ということはありません。

 

また、″凍死”するというものですが、たしかに宇宙空間は絶対零度:マイナス273℃です。ただし、宇宙には空気がありません。なので、暑い寒いがそもそもないのです。

”寒い!”と感じるのは体の熱を奪うものがあるので、そう感じます。真冬にTシャツ1枚で外にでたら”寒い”と感じるのは、外の空気が体の熱をうばうからですね。

ちなみに宇宙服は宇宙飛行士が生命を維持するため、密閉されています。体から発する熱がにげるところがないので、体温が上がりすぎないように冷却装置(チューブに水を流し冷却)がついています。

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私、宇宙ちゃんねるが考えていた宇宙線でやられてしまう”ですが、太陽などの恒星の近くでは当然その熱で死んでしまいますが、宇宙の有害な宇宙線 放射線の一種が飛んでいて、それをあびることになります。即座に死に至るということではないです。ただ、放射線なのである被ばく量を超えると人体に悪い影響を及ぼすことになります。

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この宇宙線の被ばくは今後の宇宙活動での課題です。惑星探査というと何年もかかります。その間宇宙線を浴び続けることは間違いなく人体に影響します。放射線により人の遺伝子が破壊されるので、累積されると”がん”などの病気を発症するかリスクが高くなります。これからは”いかに宇宙線を浴びないようにできるか”が重要になってくるのではないかと思います。

と考えると放射線を完全に通さない宇宙服が必要ですね。よく言われるのが鉛は放射線を遮断するのによくつかわれますが、ある程度の厚さ:10センチくらいないと防げません。さすがに10センチを全身にまとうことはきびしいですね。なぜ鉛などがよくつかわれるかというと、放射線はそれ自身が持つエネルギーを透過する物質に与えて、エネルギーを失います。エネルギーは物質のもつ電子にあげるようになります(中性子線以外)電子をいっぱい持つのは密度が高い物質になりますね。鉛はその中でも密度が高く安いのでよく使われるのです。密度は1立方センチメートル当たり:11gほどです。ちなみに金は19gともっと重いです。金の延べ棒は見た目の大きさより重いのはそのためです。

でも、さすがに金は高すぎて使えませんね。

なので、今後は放射線のエネルギーをより多く奪う新しいもの”が必要ですね!

単位体積あたり、電子をより多く持っている物質、かつエネルギーをもらいやすい物質の開発をしていく必要があるのだと。

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