宇宙チャンネル (Uchu Channel)

宇宙チャンネル (Uchu Channel)を通して現役ロケット開発者がわたし自身が語る、ロケット開発の生の声、宇宙や星に関するいろんな情報を発信しています。 そして、この発信からいろんな人に宇宙に興味をもってもらいたい、日本の自然科学・宇宙産業をもっと活発にしたいと思っています。

なぜはやぶさのカプセルは大気圏で溶けずに地球に帰還できたか?

前回、大気圏では空力加熱により大気圏を通って地表にくるものは超高温にさらされるという

お話をしました。
 
隕石や小惑星も地表に衝突するまえに超高温でなくなってしまうのがほとんどなのは
このためです。
 
2010年に地球に帰還して映画にもなったはやぶさはやぶさ本体は上に書いた空力加熱
燃え尽きてしまっていますが、小惑星のサンプルを採取したカプセルがオーストラリアの砂漠に
帰還しました。
 
このカプセル、なんで消滅しなかったかというと、カプセルを形成する特殊な材料
によるものです。
 
(JAXAさんより引用)

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カプセルの表面の材料はFRP(繊維強化プラスチック)でその中でも炭素繊維で作られたプラスチックで作られています。
この材料、熱にはもちろん強いのですが、そうはいっても耐えられるのは数千℃までです。
先ほどの空力加熱で表面の温度は10000℃にもなりますから、さすがに材料も熱で気化してきます。

 

材料は固体から気体になっていくわけですが、気体になるときは熱をエネルギーとして固体から気体になるので、周辺の熱を奪って気体になります。
熱から守る1つ目の効果となります。
 
(水が沸騰して、蒸気になるのも同じですね。水は100℃で気化しますが、水が気化(蒸発)して熱を解放することでその100℃を保持しているわけですね。)
 
また、熱分解した気体は”ガス”となり、このガスにより直接表面が高温にさらされることを防いでくれます。これが2つ目の熱から守る効果です。
 
気化した材料の残りは炭素繊維が炭化して残ります。
いわゆる”炭”ですから熱には更に強い材料としてして残ります。
これが最後、3つ目の効果です。
 
こんな、カプセルに使われた材料の3つの効果はやぶさのカプセルは消滅することなく戻ってきたのです。
 
この圧倒的な耐熱性を持っている材料は、炭素繊維に樹脂を染み込ませたシート状のもので
かたち作り、圧力と温度がかかる炉に入れて固めます。ノウハウになるのは、炭素繊維に染み込ませた樹脂でいろいろ材料の性質が変わってくるので、そこがキモですね。
 
(JAXAさんより引用)

 

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