宇宙ちゃんねる (Uchu Channel)

宇宙ちゃんねる(Uchu Channel)を通して現役ロケット開発者がわたし自身が語る、ロケット開発の生の声、宇宙や星に関するいろんな情報を発信しています。 そして、この発信からいろんな人に宇宙に興味をもってもらいたい、日本の自然科学・宇宙産業をもっと活発にしたいと思っています。

はやぶさ2 小惑星リュウグウ到着で地球とのデータのやり取りは何分かかる?

はやぶさ2”小惑星リュウグウへ到着です。 

地球との距離は3億キロ。画像の通信は望遠カメラが小惑星リュウグウをとらえた映像はこんな感じでニュースになっていましたね。

f:id:Uchu-Channel:20180629235044j:plain

3億キロは地球のすぐ外を回っている火星と地球の距離が標準的に2.3億キロ、そのさらに外の木星までの距離が7.5億キロなので太陽系の中で移動になっていますんで、思っていたよりはるか遠くとではないです。が、2014年年末の打上げから3年半、3億キロの旅をしてきました。時速でいうと

3.5年:365×3.5=1277.5日×24時間=30660時間

300000000キロ÷30660時間=時速9784キロで進んできた計算になります。だいたい東京―大阪を4分弱で移動する感じです。ロケットの時速(28400キロ)よりは遅いですが、地球上では考えられないような速さですすんできました。 

f:id:Uchu-Channel:20180629235442j:plain

そして、交信で使われている周波数は

8ギガヘルツのXバンド

32ギガヘルツのKaバンド の2種類を使っています。

電波は光と同じ電磁波の一種なので、1秒間に約30万キロすすみます。

周波数の違いで1秒間に送れるデータ量が変わってくるので、32ギガヘルツのほうが

多いデータを送れます。

 地球との距離が3億キロですから、電波が届くまでに

300000000キロ÷300000キロ=1000秒

1000秒÷60秒=16.7分かかります。

※ 2019/2/21 訂正 計算が一桁間違っていました。

ちなみに

コマンド:地球からはやぶさ2へ交信

テレメトリはやぶさ2から地球へ交信

という言葉で表し、宇宙業界ではよくつかわれます。ロケットでも飛んでいる現在位置をテレメトリ機器が搭載されているので、その信号を拾って方向制御していたりします。

 

また、データはスマフォの”パケット”同じくパケットとしてデータをおくります。

パケット:データの単位です。

地球から送るコマンドは最大1000bps 、はやぶさ2側からのテレメトリが最大32768bpsですんで、インターネットで”1ギガ(bps)”の通信速度などと言っている量からくらべるとても小さな量を送るようになっています。

 

僕もたずさわった”再突入カプセル”は2年後の地球帰還まで続きます。”宇宙の昔の姿”が捉えられるようなサンプルを持ち帰ってくれればと思います。

f:id:Uchu-Channel:20180630012231j:plain

 

工業高校からも”宇宙の仕事チャンス”あり! 宇宙業界就職マニュアル(技能編)

宇宙業界、宇宙関連の会社で働くのは何も理系大学卒の技術者だけではありません。

実際、僕の会社にもいろんな人がロケット作りに携わっています。

これから、”自分でロケットに触ってロケット作りがしたい”と思っている人はどんな技能を身につけるといいかをお話ししたいと思います。

f:id:Uchu-Channel:20180604223443j:plain

 現代ロケットの主要部は画像のように”エンジン部”と言われるところ。

世界のロケットを見てもどれも金属の配管だらけです。

これはロケットで主流の液体燃料や液体を混ぜ合わせ化学反応し、気体となったガスが通る配管です。

これだけ入り組んでいる配管は絶対に液体や気体の”漏れ”があってはなりません。(今までのロケットや探査機の事故であったように漏れが発生するとそれが引火して爆発を起こし大惨事になるからです)

漏れを無くすためには”確実に密閉する”ことが必要になります。密閉方法は大きく2つあり

 

ゴムのような弾力のある(つぶれる)物を挟んでネジで締め付ける。

 

金属をとかしてくっつける。

 

があります。入り組んでいる箇所はネジで締め付けることができないので(そもそも手が入らないですね)金属をとかしてくっつける→溶接等でつなぐようにしています。

機械による自動溶接もどんどん進んでいますが、空間が狭いところではどうしても人の手による溶接をしないといけない箇所もあります。

そこで、”溶接の技能”が必要になってきます。繋ぎあわせる金属同士を一方にかたよらないでとかし、均一に力がかかるようにする、そして、裏も表も満遍なく溶けてくっついてることが要求されます。

溶接は工業高校や高専などではじめに習うと思います。溶接の基本を学び、ベースを作っておくとその道のプロ(この人がいないとロケットが作れない!)になれるかもしれません。

自動溶接ももっと増えてくると思いますが、これからも一定の溶接技術ニーズはあるのではと思っています。

どうしても機械でできないとことは必ずある。ロケット作りではこういった”自分の得意分野”を持っておくと就職には優位になるのではと思います。

 

f:id:Uchu-Channel:20180604224316j:plain

ロケットに限らず、宇宙空間で使うものは配管溶接をするものが多いです。例えば、宇宙ステーションの機器など。

くねくねした配管が入り組んでいるのを見たことありませんか。溶接は技と知識(溶接する金属の性質を理解する)ことが重要なので、宇宙の仕事を目指す人は溶接についての幅広い知識を身につけておくと役に立つと思います。

はやっぱり、実践(経験)を踏んで積み重ねていくしかないと思います。なので、今は知識をどんどん吸収していきましょう。

 

いくら自動化が進んでもまだ少しこの先は人に頼っていくことはしばらく続くはずです。

また、溶接に限らず、金属どおしをくっつける技術も知っておくといいです。

イーロンマスクが創業した”Space X"は自社で金属攪拌接合技術を用いてタンクの接合を確立し、新しいやり方を開発していたりします。

 

ロケットにとって良い技術:低コスト、安全性 を積み上げていけるようなことが、車が普通に走っているようにこれからの民間ロケットが普及するためにはめっちゃ重要なんです。

 

 

宇宙がもっと楽しくなる!宇宙関連の本「宇宙に命はあるのか」の感想

 f:id:Uchu-Channel:20180513132304j:plain

NASAで火星探査機の開発をしている小野雅裕さんの著書。日本人技術者が書いた思えない、作家のような語り口と文章に引き込まれます。そして、2年の歳月をかけて、文字が積み重ねられたことがずっしり感じられる宇宙に関する様々な歴史、現在進行形の最先端の宇宙への挑戦を掴み取ることができます。

人類が”ロケット”と使って宇宙へ行けるようになった道すじは映画のシーンのような描写で、頭の中で画が浮かんでくるようでした。特にヒトラー ドイツ軍と後にアポロ計画を成功させることになるフォン・ブラウンのやりとりは、トムクルーズの”ミッションインポッシブル”のワンシーンのような緊迫感が伝わってきます。

この本の大きなテーマは”イマジネーション”

人は本、メディア、他の人から得られる情報によってそれを組み合わせて″イマジネーション”することができる。これは他の動物だと過去の体験でそれを思い出すことはできるが、組み合わせて想像することができるのは人間だけではないかとおもう。

 そして、改めて自分がやっている宇宙の仕事は人間がこの世のいる限り、絶対なくならない、大げさに言うと人類の進化をつなぎ続ける仕事、だから僕はこの仕事をしていると実感した。それはやっぱり、人が”イマジネーションし、進化をする”生命体であるからだと思うのです。

そして、この本に出てくる人物はみな、取り組む仕事に情熱的だ。僕も目指すものがあるが”情熱的に”できているだろうか。会社での仕事の障害(やりたりこと以外の他にやらないといけないの仕事)、家族との時間、そういうことで時間がないを理由にしていないだろうか。つまり、情熱が足りないのではないか(本気でやっていきたい)かとおもったりもする。

 

この本のタイトル「宇宙に命はあるのか」というテーマ、全宇宙と比べれば地球にある海の砂浜にある砂粒ひとつ(正確なたとえではないですがそれくらい地球は全宇宙に比べれば小さい)地球のまわりの10粒程度しか知らない僕たちはほとんど知らないのと同じ。だから、一歩つづでも進んで、進んで、”宇宙のどこかにわれわれと同じ命があるのか”という僕らの探究心を少しづつでも埋めていくんだと思う。

 

ロケットの作り方 その⑤ 1段ロケット、2段ロケットをつなぐ接手

以前、”ロケットのものづくり”をやっていたころの僕はこの部分「ロケットの接手部分」が担当でした。(ある意味 僕の専売特許です)

f:id:Uchu-Channel:20180513131829j:plain

この接手部分は文字通り、宇宙空間へものや人を運ぶ多段式ロケットの1段と2段、2段と3段といった各段のつなぎ目となるところです。つなぎめという役割以外にここの内部にはロケットの頭脳となる”電子機器”が搭載されています。例えば、最近のロケットでは人工知能の機器であったり、ロケットの姿勢を計測する機器、それらを動かす電池などです。

f:id:Uchu-Channel:20180513131711j:plain

この接ぎ手部分でも、やっぱり軽量化!ロケットをできる限り軽くすれば、それだけ多くの荷物や衛星を宇宙に運べるようになるので。”軽く”するにはどんな材料で作ったらよいか?身近にあって意外と強いもの、「アルミ」をよく使っています。ただ、アルミでもアルミの中に混ぜる成分をかえることによって、普通のアルミより”強さ”を持ったものを使っています。鉄の約1/3の軽さのアルミ。この軽さと強度は魅力的です。

さて、タイトルの”作り方”はというと、何個かのアルミのリングとSKIN(スキン:表面)と呼ばれるアルミの円弧状に曲がった板をボルトで結合していくことでアルミの円筒状の接ぎ手が形作られます。ボルトもほとんど、普通のボルトでなくアメリカの航空規格のボルトが使われています。なので、一般的なものと比べると高価なんですね。この辺は”もっとロケットを安く”していく上で、普通に世の中に出回っているもので、強度があるものに変えていかないといけないんだと僕は思っています。従来の実績にしがみついちゃっているんですね。 もっとロケットを身近にするには”こんなものもロケットに”という風にならなくちゃいけません。

f:id:Uchu-Channel:20180513131625j:plain

 ただ、ここ最近はやっぱりFRP:繊維強化プラスチックの出番が多くなっています。アルミよりももっと軽くて、繊維の方向で強度を作ることができる、ロケットでは多く使われるようになった材料です。表面はFRPですが、中にはおなじみ?の「アルミハニカム構造(生物の進化の過程で生まれた”蜂の巣構造”)です。自然界にある蜂の巣構造が実はもっとも力を分散し、そのものの強さを保つ、これは必然なんだと感じました。こちらの作り方は型にFRPのシートを重ねアルミハニカムをその上に詰め、その間には薄いフィルム状の接着剤を挟んでおきます。さらにその外側にフィルム状の接着剤、そして最外面にはまたFRPを積んでいきます。そして、それに熱と圧力のかかる炉に入れて固めていきます。軽さと強度を追求するものにはもっとFRPが使われていくようになると思います。ちなみに身近なものだと、スマフォの本体のケースや自動車のパネルまわり、見た目でわかりやすいやつだと、ゴルフのシャフト、釣竿なんかはまさしくFRPですね、よく”カーボン”なんて呼ばれているものです。ちなみにCFRP(Cはカーボン:炭素のC なので色が黒いです。炭素、鉛筆の芯のようなものですから)

f:id:Uchu-Channel:20180421013020j:plain

アルミにしろCFRPにしろ、中に入る電子機器とはアルミのプレートなどを介して、ボルトで結合します。車だと”タイヤのボルトのトルク掛け”(ボルトが緩んでこないようにある締め付ける力以上をかける)なんてやりますが、ロケットではほぼマストで”トルクがけ”を行います。ボルトが緩んでものが脱落したなんていうことがロケットが飛んでいる時に起きたら大変ですから。管理方法ももちろんしっかりしています。一般的には”トルクマーク”と呼ばれる表示をトルクがけしたボルトと組み付けたものに一本線で書いて、後でも緩んでいないかが一目でわかるようにしています。”トルクがけ”したかと”緩んでいないか”をチェックできるわけです。そんな風にロケット部品の組み付けはミスを絶対起こさないように細心の注意と確実にミスしないようにつくることの意識がすごく徹底しています!

 f:id:Uchu-Channel:20180421013930j:plain

 

”池上彰の2018年宇宙の旅”でもあった無重力体験はなぜ出来るの?

最近、池上彰さんもTBSで宇宙の2時間番組をやっていましたね。このタイミングで宇宙の番組って何か意図があるんですかね、国が宇宙産業に1000億出資するニュースとかありましたけど。

 

f:id:Uchu-Channel:20180406221127j:plain

その中でイノッチが日本でできる”無重力体験”をやっていました。周りの人に聞くと宇宙に行かなくても「無重力体験してみたい!」と思っている人、結構いるみたいです。僕もやったことはないのでそんな”新しい体験”をしてみたいです。

f:id:Uchu-Channel:20180406221449j:plain

番組の中では「なんで無重力体験ができるのか?」は説明していなかったんですが、どうしてだと思いますか?以前のブログでは宇宙ステーションでふわふわ浮かんでいる宇宙飛行士の人たちは”無重力”ではないと書きました。(無重力でなく地球の引力と宇宙ステーションが地球の周りをぐるぐる回っている遠心力が釣り合ってると。その力の釣り合いでどこにも力がかかっていなくあたかも”無重力”になっているような状態なんですね)

f:id:Uchu-Channel:20180216000711j:plain

この日本でできる無重力体験は飛行機が重力だけしか受けない状態になるとその中にいる人は無重力を体験できるのです。飛行機をボールに例えるとわかりやすいかもですね。45度の角度で上へ投げたボールははじめは加速され斜め上へ飛んでいきますが、ある位置で加速はなくなり、重力だけを受ける状態になります。それが放物線を描いている時ですね。その中に人がいたら重力だけ受けたボールの中にいるんでふわふわと体が浮いてきます。そんな時間が約10〜20秒続く状態になり、無重力となるわけです。

 f:id:Uchu-Channel:20180406232054j:plain

 この体験、料金を調べてみると日本では唯一 名古屋のDAS:ダイヤモンドエアサービスと言う会社がやっていて5〜7回の体験で30万ほど。”そこまでの過程を楽しむ”と言うのはありますが、なかなか手がでない金額ですね。数万でできればもっと応募者が増えそうですが、フライトのコスト的に見合わないのかもしれません。人件費(パイロット)、燃料代などが主に金額のかさむ所なので、”薄利多売”にして、お客さんをふやすとかフライト時間を短縮した”ショートプラン”でおやすくするとかでもっと多くの人が”無重力体験”を体験をできるようになれば、もっと宇宙への興味みたいなものが広がっていくんじゃないかなと思います。(実は先日、この企画の窓口になっている日本宇宙フォーラムの会長さんと名刺交換、少し話をしたので思い切って提案してみよう思います!)

 f:id:Uchu-Channel:20180407065922j:plain

そして、この無重力体験の前後には2Gの加速度が人間にかかります。イノッチもそれを体験していました。ジェットコースターに乗った時に体が押さえつけられるような感じになる”あのG”です。いきなりスピードをあげて飛行機が加速しているのでさっきの無重力と同じように人にもGはかかりますよね。この”2G”の体験もロケットで人間が宇宙に行く時にかかる”3G”の体験に近いものがあるのでそういった意味でも”宇宙旅行の疑似体験”にもなりそうです。

f:id:Uchu-Channel:20180407071821j:plain

 

もしかしたらその人の”一生思い出に残る貴重な体験”。そんな、ワクワクする体験を広めていけるように活動してみたくなりました。”宇宙・宇宙産業”を広めようとしている僕の使命のような感じもします!

 

 

 

 

 

”波情報がリアルタイムでかつ正確にわかる”衛星画像を使ったビジネスアイデアを考えた!

先週、宇宙ビジネスシンポジウムにお邪魔しました。僕は昨年あった、宇宙ビジネスイデアコンテストに応募したのがきっかけでした。

 f:id:Uchu-Channel:20180327000612j:plain

そんな中、宇宙開発利用大賞の表彰では、内閣総理大臣賞もあり、まさか!とおもったんですが、会場ざわつき「プレゼンターは安倍内閣総理大臣です!」のアナウンスと共に首相本人が登場!”生安倍首相”をはじめてみました。テレビではよくみているので、そこまで感動はありませんでしたが、聴きなじみのあるちょっと甲高いが、強い意志を感じる語り口で、政府として今後の宇宙ビジネスへの取り組みをお話しされていました。

「今後、5年間で1000億円規模のリスクマネー宇宙ビジネスに投資する。日本が宇宙ビジネスを国家プロジェクトから民間ビジネスにけん引する」というものです。

f:id:Uchu-Channel:20180327002814j:plain

ぼくが日ごろから日本を”宇宙先進国”へという思いを掲げて、発信・動いているのとシンクロナイズされたとうような気がします。この”追い風”を今後どう生かすか、ぼく次第です。

また、そういった話のなかで、今後衛星データのフリー化を行いビジネス活用してもらうことも行うとのことです。

そこで早速、身近なものと絡めたビジネスアイデアを考えてみました。

最近はあまり行けていないですが、僕は波乗り(ボディボード:ドロップニーといって

膝立ちで波乗りするスタイル:下画像(本人です!)をするのですが、事前に波の情報をつかむには波情報アプリ(有料です:300円/月ぐらい)を利用しています。

f:id:Uchu-Channel:20180327000735j:plain

最近はメジャーなポイントではライブ映像も増えてきましたが、波情報は定期的に更新され、ポイントによっては数時間おきに情報がかわったりします。でも、波情報も交通情報のようにリアルタイムでわかるほうがよいと思うんです。リアルタイムでわかると

最新の波や風の状態がわかる。(特に風向きがかわり始めたら悪くなるかよくなるかがすぐわかる)

どれだけ混んでいるか正確にわかる。衛星からのリアルタイム画像だと駐車場の空きや駐車スペースがあるか?なんていう情報もわかるようになる。

波情報だよりに行ったときには”実際いまいちな状態になっていた”なんてことはよくあるんです。なので、衛星データ(リアルタイムであることは確認しないとですが)を使って、より便利になるサービスができると[宇宙が身近に]感じられるんだと思います。

曇りの日は・・・・ちょっと下調べが必要ですが、光学センサーなどで検知して、地上の状態をみることができればサービスが「晴れの日しか提供できない」なんてことがないようにできるんだと思います。(ただし、今の波情報もそうですが、ローカルの方が大切にしているエリアは基本表示していないので、今同様にそういった配慮もしながらですね)

やっぱり”宇宙”を使った商売はもっと身近にならないと広まらないかなと常々おもっているんで(GPSとかみたいに)、こんなアイデアを考えて””できたらといつも頭の中を思いめぐらしています。

 

 

 

宇宙飛行士になるには その③ ”緊急対応力”はどう鍛える?

JAXAの宇宙飛行士選抜試験にはその人の宇宙飛行士になるための能力を見極める試験が多くあるがその中に”緊急対応力”があります。

  

突然ですがジェット機パイロット”というとまず何を思い出すでしょう。

年収?、木村拓哉が主演の「グットラック」?、きれいなキャビンアテンダント?などいろいろあるが、ぼくは映画にもなった「ハドソン川の軌跡」を思い出す。

f:id:Uchu-Channel:20180315232418j:plain

2009年、上空1000メートル、バードストライクにより両方のエンジンが停止した乗客155名がのった飛行機をハドソン川に不時着させ、全員が無事に生還した実は物語である。

トラブル発生後、わずか3分ハドソン川に不時着、お湯を入れてガッキーのチキンラーメンが出来上がる間に機体に起きている状況を把握し、”何が最適か”を最速・最適に判断したからこそなしえたことです。

そして、もちろん同じような出来事は宇宙に出た人間にも起きています。

映画「アポロ13」といえば、月着陸をめざし飛び立ったが、途中で酸素タンクが爆発し、月着陸は断念、数々の問題をかかえながら、宇宙飛行士と地上局の人々で懸命に地球に帰還することを考え、問題を解決し、無事に地球に帰還した映画です。「アポロ13」からさかのぼること5機の”アポロ8”ではアポロ13で船長となる”ジム・ラベル”が地球への帰還途中の操作ミスでアポロの位置データがおかしくなり、六分儀という船の航海で使われる位置を測定するで対応して姿勢をなおし無事地球に帰還しました。

(そう思うと映画「ハドソン川の軌跡」の機長役、「アポロ13」の船長役はともに”トム・ハンクス”でしたね。ちょっとした重なりですが)

 f:id:Uchu-Channel:20180315233609j:plain

 (アポロ13 宇宙飛行士、それを支える地上スタッフが”熱い”映画です。アポロ13のような宇宙探査機ではありませんが、ロケットでも様々なトラブルを乗り越えて”打ち上げ”が成功した時、似たような”感動”を味わうことができます。)

 宇宙飛行士になった人でパイロット出身の人が多い理由の一つにこれがあります。

日ごろから大勢のお客さんを乗せ、何かあったときは即座に対応できるように訓練もされている。そして、何より実際にそういう場面に遭遇することが多く、緊急対応力の”経験”を多くこなしているということです。

また、この緊急対応力は仮に世の中の知能が”AI(artficial inteligence:人工知能)”にかわっても、そうそう人間にはかなわないのではと僕は考えています。それは、経験の重要なファクターですが、そもそも人間は動物で命の危険にさらされた時には”命を奪われまい”と動物そのものの本能が働き、緊急事態を回避するばか力を発揮すると考えているからです。今までの記憶にある出来事を頭の奥から根こそぎひっぱり出してきて、使えるものがないかと本能的に判断し、何とかその命を奪われるかもしれない事態を回避しようとうする。

 f:id:Uchu-Channel:20180316000646j:plain

 

でも、パイロット弐なれる人ってごく限られた人しかいないですよね。パイロット以外の人たちはその緊急対応力をどう鍛えてけばを考えます。

宇宙業界ではよく不具合などの事態が起きたとき、”故障の木解析:FTA(fault  tree analysis)といった手法を使います。これは不具合の原因をつかむための手法でまず大まかな原因でカテゴリーを分け、その後は木が枝分かれするようにもっと細かい事象にして、原因となりそうなことを細かく出していきます。

 f:id:Uchu-Channel:20180316001223j:plain

そこまでだと、”原因”となりそうなことがたくさんあることがわかっただけなので、そそれを今度はひとつずつその原因については確認していきます。具体的には作業の記録やプログラムの再確認などをして、原因をひとつづつつぶしていきます。その結果”原因はこれだ!”と断定はできなくても”可能性が高い”というものが残ります。原因がわかればどう対応すればよいかは決まりやすくなります。

こういうのも毎回毎回やっていると原因⇒対応策をすばやく端的につかむことができるようになると思います。これは宇宙産業限らず、同じような問題はどこの会社でもおきているので、日ごろから意識して”緊急対応力”を鍛えていくようにすればいいのではと思います。宇宙飛行士を目指す人には、やってみると”宇宙への道”がちょっと近づける第1歩になりますね。

 

 

 

”はじめに”

ぼくは子供のころから、星をみるのが好きで、親に買ってもらった天体望遠鏡でハレーすい星を夜中じゅう見ていたのをよく覚えています。そして、”将来は未来、人間が宇宙に行けるような未来をつくる仕事がしたい”と思うようになりました。ずっとあきらめずその目標に向かってすすんだことで、ロケットの仕事ができています。

 

いま、日本の宇宙産業はアメリカなどと比べ、遅れをとっています。それを挽回しようと国もあげて未来の大きなビジネスにつながる”宇宙”という産業を懸命に発展させようとしています。

 

ぼくはこのブログを通じて、宇宙のはなしや宇宙の仕事の情報やリアルな話を発信するしたり活動をすることで、宇宙・宇宙の仕事の”楽しさ””わくわく”を伝えていきたいとおもいます。そして、”宇宙ってたのしい”、”宇宙の仕事ってわくわくする、やってみたい”と思ってくれる人が増え、将来の開発者や宇宙関連の仕事につく人が増えるようにして、日本の宇宙産業を発展させ、日本を”宇宙先進国”にしたいと考えています。

 

ちなみに僕が考える”宇宙先進国”とは

・小学校の授業に理科とは別に「宇宙」の授業がある

・他の国に先駆けて、地球以外の惑星に”基地やホテル”をつくる

恒星から受ける熱や光のエネルギーだけで燃料を積まずにどこまでも行ける”探査機や宇宙船”を開発する。

・日本で宇宙に行った人が”100人に一人”はいる。

などです !!

 

f:id:Uchu-Channel:20180310060122j:plain

はやぶさ2が着陸する小惑星の画像をとらえたニュース。小惑星への着陸はもう少し(今年の夏です!)

先日、2014年の年末に打ち上げられたはやぶさが今年の夏に着陸する”小惑星 1993 JU3",(今は名前募集で決まり、”Rrygu(リュウグウ”という名前が付いていますが)の姿をそのカメラで捉えたニュースがやっていました。

 

もう3年以上になるんですね。作っていたのがもうちょっと最近のように思います!3年ほど前、はやぶさ2でははじめてのこともあったので、運輸局に相談しにいったり、お客さんといろいろ調整したりした記憶がよみがえってきました。

 

3年以上、地球からのその移動距離は3億キロと果てしない距離を移動して、着陸は約半年後に近づいてきました。

地球1週が約4万キロなので、はてしない距離です!

 f:id:Uchu-Channel:20180306225915j:plain

 

 なんではやぶさ2はなぜ小惑星に向かうのか”、一概に”ロマン”なんていうことも言えるんですけど、もっと壮大なテーマがあるんです。この小惑星は太陽系が生まれた約46

億年前の昔の姿を残していて、この小惑星を調べれば、”太陽系がどうやってできたのか”、”我々、生命はどこからきたのか”を解明するというミッションがあります。 

 

 f:id:Uchu-Channel:20180306230236j:plain

 

また、この未知への挑戦が子供たちに”オォー”と心をおどらせること、刺激となり宇宙へのあこがれや興味をかきたててくれる、大人も同じように”こんな宇宙の仕事をしてみい”と思うようなきっかけとなることもミッションの目的の一つです。

 

ここではやぶさ2の機能を改めて。

 はやぶさ2を動かす推進力としてイオンエンジンが使われています。イオンエンジン:キセノンという気体をイオン化し、電極でこのイオンを加速して、電子と混ぜて噴射します。

 

推力が大きくない分を電極での加速にして”イオンを飛ばす速さ”バーしています。秒速3キロだったものが秒速30キロになれば、それだけ遠くにすすむことができるようになりますんで。

 

イオンエンジン”キモ”少ない燃料でも遠くへ行ける”ことです。今までに比べ積み込む燃料は1/5ぐらいですみ、さらにさっきかいたように今までより吹き出す速度が速いのでより遠くにいくことができるのです。

 

f:id:Uchu-Channel:20180306063425j:plain

 

まさにイオンエンジンは今までの液体燃料の燃やすことによる推進力に変わる、”深宇宙への橋頭堡(きょうとうぼ:橋の土台という意味です)”となる技術です。

 

この言葉は近代ロケットの開発を飛躍的に発展させた”フォン・ブラウン”の言葉なのですが、以前JAXAの方が引用していたのにインスピレーションを受け、ちょっといい言葉だったので使わさせてもらいました。

 

 

また、はやぶさは地球から数億キロという果てしない距離にいますので、通信時間に往復で約40分かかります。

なので、ある状況の場合にははやぶさ2自身”で考えるという自律装置がついています。今、AIが活況ですけど、宇宙開発にも重要なアイテムなのです。これからはますます”深宇宙”への旅が広がるので、そのあたりの技術も発展していくのだと思います。

 

そして、無事、小惑星のサンプルを採取し、地球への帰還の時は、はやぶさ2は燃え尽き、その一部であるサンプル採取カプセルが地表に戻ってきます。

 

大気圏突入している時にカプセルは空力加熱(超高速で進むと先端に空気が圧縮され、その空気の分子が激しく動き、それが熱になり数千度という高温になる)によりカプセルの表面も燃えてきます。

 

ここは僕たちが担当しているところで、基本的にはやぶさと変わらないのですが、表面のFRP(繊維強化プラスチック:ブロクではたびたび登場しています)が燃え、その燃焼により発生したガスで自身を守る”けむりのシールド”を作ることによってさらに表面をやられるのを低減します。

 

ここはFRPにどんな特性を持たせるか、技術のきものところになり、新薬の開発じゃないですけど、いろんな配合で最適なFRPを作っています。

 

 f:id:Uchu-Channel:20180306232122p:plain

 

そして、最後にちょっとおもしろい、SFっぽいですが、実際に確認していることで面白い話。

 

それは”惑星検疫 ”というものです。未知なる小惑星には、”もしかしたら生命体がいるかもしれない”、”人間が感染してしまうような病原菌があるかもしれない”ので、あらかじめ惑星の成分などを判断して、問題がないということを確認しています。

 

ほんとうに”起きえない”といえるものではないので、慎重に確認しなければいけませんね。人間がしっていることは宇宙からくらべればごくわずかなことだと思うので。

 

 f:id:Uchu-Channel:20180306233414j:plain

 

 東京オリンピックの後になりますが、2020年12月ににふたたび地球に帰還して”僕ら人類はどこからやってきたのか”という大きなテーマの解明につながるようにもうちょっと”はやぶさ2”の帰りをまってみたいと思います。

24時間、打ち上げにそなえます

今日は打ち上げが午後だったので会社でH2A ロケット 38号機打ち上げを見ていました。情報収集衛星(いわゆる偵察衛星)ということであまりメディア発信はされていなかったですが、昼間の青い空に噴煙を上げて、飛んでいきました!

大きな噴煙はH2Aロケットの爆発的な初速となる僕らが担当している固体ロケットブースターから吹き出ています。液体酸素と液体水素のみ使う液体燃料と違って(燃焼によって水蒸気のみが発生)、固体のほうは酸化剤、燃料、練り込んで固めるための硬化剤のなどが入っているので燃焼後はいろんなガスの成分が排出され、大きな噴煙となります。

f:id:Uchu-Channel:20180227224421j:plain

打ち上げの数日前から打ち上げ時間にむけて、タイムスケジュールがきまってくるので、朝も夜も関係なくものごとが進んでいくことになります。また、気象条件によっても打ち上げ日が大きく左右されます。天候が悪いと(特に雷が発生しやすい状況⇒電子機器に影響を与える可能性がある)だと延期になります。そんな中、現地では僕らの仲間たちが日程変更に柔軟に対応して、やってくれています。感謝です。

2017年度の打ち上げは最多タイの5本のH2Aロケットのうちあげとなりました。ただまだまだアメリカ等とくらべると打上スパンが長いので、これからは”もっと本数を打ち上げられるロケット”をめざしていきたいです。本数を打ち上げるには、”月産何百万台の自動車工場”のようなライン化というわけにはいきませんが、それに少しでも近い形をめざしてすすんでいく必要があります。将来のお客さんがどれくらいいるのかを見極め、今、設備投資していつでも打ち上げらるようにつくっておくことができるようにしていくのだと思います。

f:id:Uchu-Channel:20180228064320j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙のふしぎシリーズ① 宇宙ではなんで人やものが浮かぶの?

宇宙や宇宙船のなかでは人やものがふわふわ浮かんでいるのを見たことがありますね。地球にいると浮かぶことはできないけど、なんで宇宙だと浮かべるんだろう?

(いま、宇宙ステーションには金井宇宙飛行士が滞在しています)

f:id:Uchu-Channel:20180215234220j:plain

ふわふわうかんでいる状態は”無重力(むじゅうりょく”といいます。ことばの通り、重さがない状態です。

”どうしてそうなるの?”というと力がつりあっていて、宇宙ステーションにいる人やものには力がかかっていない状態になるからなんです。なので、実は宇宙でも重力”がない場所はないのです。

f:id:Uchu-Channel:20180216000711j:plain

地球の周りをぐるぐるまわっている宇宙ステーションは1時間半で地球を1周しています。地球1周が約40000キロメートルなので時速にすると約28000キロメートルです。ジェット旅客機で時速1000キロメートルぐらいで、ロケットは地球をくるくる回る軌道に人工衛星を乗せるので、宇宙ステーションと同じ、時速 28440キロメートルです。東京~大阪間は約500kmなので、その時速でいくと約1分でつくことになります。そう考えるとロケットはとてつもない速さですね。宇宙ステーションはこんな速さで地球をまわっているので”遠心力”がかかります。車で急カーブのときに体が押し出されそうになるあの力です。宇宙ステーションでは遠心力と地球の重力が釣り合った状態になり、あたかも無重力な状態になるということなんです。ちなみに高度400キロメートルの宇宙ステーションでの重力は地上の89%とほぼほぼ重力がある状態です。

よくあるたとえが皆さんが水のはいったバケツをぶんぶん回しても中の水は落ちてこない。その時、”遠心力”と”重力”が釣り合っているのでバケツの水はおちてこない、でもゆっくりまわすと遠心力はよわまり重力にまけてしまい、頭に″ザブン”とかかってしまうんです。

f:id:Uchu-Channel:20180216000949j:plain


そして、もっと遠くの宇宙でも重力は存在します。それは、ニュートンの「万有引力の法則:重さがあるものはどんなものでも引き付けあう力が働く」があるからです。ある宇宙の位置にいたときは、そこから一番近い重さのある星から一番影響を受けると思いますが、わずかながら地球の引力の力も存在しています。もちろん人間も重さをもっているので、人間同士もわずかながら引き付けあう力があるのです。もちろん、皆さんもご存じのようにその力で”お隣さんとひっついちゃった”なんてことは起きず、ごくごくわずかな力ですが。しらべたところ「なぜ、重さをもっているとひきつけあうのか?」のしくみはわかっていないようです。

 

<小型ロケットが宇宙ビジネスを加速する、打ち上げは2/3 鹿児島 内之浦より>

”うまいの早いの安いの~”とキン肉マン(世代がバレますね〜)ではないですが、

”安くて、早く打ち上げられる”小型ロケット。

 

これからのロケット打ち上げでは、にぎやかになっています。

先日、アメリカのベンチャー企業、Rocket labがニュージランドで

複数の衛星打ち上げに成功しました。創業10年足らずの企業で

打ち上げ成功はロケット業界ではかなり早いです!

日本は技術力はあるので、負けてはいられません。あとはスピード!!

 f:id:Uchu-Channel:20180202000012p:plain

日本では宇宙ちゃんねるも大きくたずさわっているJAXAさんの超小型ロケット

”SS520 5号機”が2/3(土)14:00ごろ打ち上げられます。

YOU TUBEでのライブはこちらです↓

SS-520 5号機による超小型衛星打ち上げの実証実験 - YouTube

このロケットは1年前 4号機として打ち上げましたが、配線のショートの可能性という原因で通信が途絶え、やむなく海に落下して、失敗したリベンジマッチです。

 

2/4(日)更新

2/3(土)予定通りに打ち上がり、数時間後、超小型衛星との通信も確認できて打ち上げ成功しました。日本も海外に負けじと”超小型ロケット”頑張っていく第1歩となると思います。

f:id:Uchu-Channel:20180204123150j:plain

 (出典:JAXA)

今回、超特急でロケットを作り上げ、一年かからずに完成までたどり着きました。

ぼくは「1年以内じゃ厳しいんじゃないかな」と少しあきらめかけていたんですが、

まわりの人たちの意気込み(”頑張って飛ばしましょうよ!”)に触発され、あきらめずにやってきました。まわりの仲間に感謝です。

 

今回は

民生品を活用したロケットで打ち上げること”と”小さく打上費用を抑えたロケットで

小型の人工衛星が打ち上げられる”ということを実証するのが目的です。

これからロケットをどんどん”早いの安いの~”にするには、秋葉原の電気街にあるようようなすぐ手に入る部品を使っていくことで加速します。きびしい宇宙環境の中でも

”実証”してつかえるようにするもってこいの機会なのです。

そうすると、おのずと打ち上げ全体のコストも抑えられます。「買ってくるもの」を極力安くすることはとっても重要です。この小型ロケットでも何千点の部品が集まったものなのです。(大きいロケットは部品の桁が違ってきます!) 

f:id:Uchu-Channel:20180201235513p:plain

今は大きなロケットだと、小型の人工衛星”相乗り”という形になるので、お客さんが必要とするタイミングで打上できなかったりするので、お客さん目線で考えた

安く、いつでもうちあげられるロケット」のニーズが高まっているのですね。

 

このロケットは固体燃料をメインにしています。簡単にいうと”花火”と同じです。

構造は液体燃料を混ぜてつかうロケットより単純なのですが、花火と同じで一度

火が付いたら推進薬(花火でいう”火薬”)がなくなるまで、燃え続けるので制御ができないという点があります。

f:id:Uchu-Channel:20180202000552j:plain

SS520は固体燃料の2段式ロケットなのですが、1段ロケットが燃えたあと、液体燃料をつかって姿勢を変え、2段ロケットが飛ぶ方向を変えています。これにより途中でも方向変更ができるようになっているハイブリッドなタイプのロケットに改良されています。

 

今回の人工衛星を打ち上げる高度は200kmということで、わずかながら空気があるので抵抗を受けやすく抵抗により徐々に高度が落ちて、いずれは大気圏で燃える尽きるので

実用的な高度ではないです。しかし、将来的にはもっと高いところに打ち上げ、ずっと地球の周りをぐるぐる回っている人工衛星を飛ばせるようにするしていきます。

ちなみに”北朝鮮弾道ミサイル”の高度は4000kmと宇宙ステーション高度:400kmとよりも随分高い高度を飛んでいます。その技術はやはり”ミサイル”でなく”宇宙への冒険”で使ってほしいですね。もったいない(~_~;)

f:id:Uchu-Channel:20180201235647j:plain

 

 

 

 

 

 

 

 

🔴月がなぜ赤く見える?!3年ぶりの皆既月食は1月31日

f:id:Uchu-Channel:20180127125154j:plain

肉眼でも全然OK! 月が地球のかげにすっぽりかくれ、月が赤く(赤銅色)に見える皆既月食、ほぼ3年ぶりの天体イベントです。

みられるのは1/31(水) 21時51分~23時8分ごろの約1時間20分です。高さも見やすいので、夜は寒いですが、あったかい服装とあったかい飲み物をもって観測してみるのがよいかもしれません。月明かりが暗くなり、新月とは違った夜空の雰囲気を楽しむことができます。月は機材が不要でただ、眺めていればよいので、気軽に見れる点もよいところです。

f:id:Uchu-Channel:20180127125247p:plain

皆既月食ではなぜ月が赤く(銅が赤みがかった色(よくある銅板↓)に近いので赤銅色(しゃくどういろ)と呼ばれます)みえるのでしょうか。

f:id:Uchu-Channel:20180127125323p:plain 

皆既月食のとき、月は上の図のように地球の陰にすっぽり隠れてしまうわけですが、地球の大気に当たった太陽の光のなかで波長の長い赤い光は大気で散乱されにくく、大気を通過して月まで届くのです。下の図のように、波長が長いとスイスイと大気中のチリに当たらず、すり抜けていくのです。

f:id:Uchu-Channel:20180127142400p:plain

空が青いのはこのためです。波長が短い光(青い光)がチリにあたり、あっちにいったりこっちにいったりで散乱し、青い光となって見えるのです。

 

月は1ヶ月をかけて地球の周りをまわって(公転)していますが、太陽・地球・月の位置関係で3年ぶりの皆既月食になります。実は今年は皆既月食は7月にももう一回あるのですが、全国的に見えるのは今回のみです。

 

”いつもと違う” ものを見るのは好奇心をくすぐられ、何か新たな発見や好きなことを見つけるきっかけになると思っています。お子さんには遅い時間帯かもしれませんが、可能ならお子さんと無理ならみなさんで気軽に眺めて見て、何かおもしろい・楽しいことを見つけてみませんか。

 

 

 

”ロケット打ち上げは地元漁業組合の協力があってこそです”

僕もバッチリたずさわっているイプシロンロケット3号機。

もうすぐ打ち上げです!1/17(水)の朝に早い時間:6:00ぐらいから打ち上げ予定です。

(1/15 改訂)1/15 本日 JAXAさん よりプレスリリースされましたが、当日の悪天候が予想される為、打ち上げは1/18以降となりました。

 

今日(1/18)朝にイプシロンロケット3号機 無事に打ちあがりました。衛星も軌道投入で来て、ほっとしています。また、次回もうつくしい打ち上げができるように頑張っていこうと思います!

f:id:Uchu-Channel:20180118232934j:plain

f:id:Uchu-Channel:20180113010732p:plain

はじめての1号機から3回目ということもあり、ロケットづくりのほうはずいぶん順調になりました。やっぱり、”繰り返し”というのは人はなれてくるものですので。僕もスケジュールという観点からこのロケットを見守っていますが、3回目となると外しちゃいけないポイントがつかめてきているので、少し安心です。

 

ロケットは発射場から海に向かって打ち上げられます。

あまりしられていないかもですが、打ち上げの日を決めるうえではその地元の漁業組合の方たちと事前にお話をして、おたがいに”よいでしょう”と合意をしたうえできまっていくのです。やっぱり、場所をお借りしているわけですから地元のかたの漁に影響してはいけません。地元の方たちはそれをなりわいとして暮らしているわけですから。

 

そして、そんな風にしてきまった打ち上げ日当日も打ち上げ前後の時間帯は漁にでないなどの協力をしてもらっています。

 

僕も内之浦には弾丸で日帰りでいったことしかないですがこの記事をみると

内之浦のおいしいさかなやえびをたべにロケット打ち上げをみにいきたくなります。

アジ、サバ、カマス、カンパチ、伊勢海老、黒マグロ、カツオどれもおいしそうですね

)^o^(

世界一愛される発射基地「内之浦」〜後編:共存共栄のココロ〜 - ウチノウラキモツキ共和国

f:id:Uchu-Channel:20180113005122p:plain

さて、僕も微力ながら協力して、そしてなかまがつくってきたイプシロンロケット

国も日本の衛星ビジネスを新興国を中心に活性化させる候補として援助してきた高性能小型レーダ衛星:ASNARO-2(アスナロ2)を搭載してそろそろ打ち上げです。

シッカリうちあがり、自然災害を未然に防いだり、船が安全に運航でできたりに貢献してくれると僕も目指している日本を”宇宙先進国”へ一歩ちかづいてくれるのだとおもいす。

f:id:Uchu-Channel:20180113010800p:plain

人は生身でどのくらい宇宙にただよえるのか?

スターウオーズ/エピソード8  ”最後のジェダイ”をみた方からこんな質問を受けました。

”人間は宇宙服無く生身で宇宙空間に投げ出されると体が破裂して死んでしまうのですか?”(あまり詳しくは書きませんが、映画中、人が宇宙空間に投げ出されるシーンがありましたね)

 f:id:Uchu-Channel:20180106225658p:plain

 

皆さんはどう思いましたか?先に書いたように

①体が破裂して死んでしまう。

②宇宙は相当寒いので凍死する。

宇宙線に体がやられて死んでしまう。

など、いろんな意見があります。(ちなみに僕は有害な宇宙線でやられてしまうの③と考えていました)

 

実際には”窒息して死んでしまう”というのが正解です。

 

大気がなく無酸素で呼吸ができないので、10秒程度で意識を失います。(脳に酸素がまわらなくなってです。空気がない事と加えて真空で大気圧がない、酸素に圧力がかかっていないと肺が気体を吸収できません。

その結果、脳や血液に酸素がいかなくなる。

息を止めていても良いのですが、こちらも宇宙空間に気圧がないことで肺の中の空気が膨張してしまう。吐き出さないと肺が膨張した空気で破裂してしまう可能性があるので、口は開けたままにしなくてはいけません。(NASAの緊急用の手順書にも口を開けることが書いてあります。)

空気を吐き出したら、肺に空気(酸素)がなくなるので息をすいたくなりますよね。でも、空気がない、あったとしても肺に圧力がかかっていないため吸い込めず、脳に酸素がいかなくなり10秒ほどで意識がなくなります。ちょっと想像しただけでもこわいです。

 

先に書いたそれぞれの意見(理由)はどうだったのでしょう。

 

①体が破裂して死んでしまう。 

大気圧がないので人間の血液が沸騰し、気体となり膨張して破裂するなんていう事も言われたりしていますが、実際には血液にも”血圧(心臓によって送り出された血液が動脈の壁を押す力)”と言う圧力がかかっているので、大気がない(気圧がない)としてもそうなることはありません。

ただ、先ほどの肺の空気を吐き出さないと膨張してしまうために口を開けますが、口の中の水分は圧力がかかっていないので、すぐ蒸発してしまうと考えられます。

水分の蒸発は水であれば、水が沸騰する温度100℃で上記になりますね。これは私たちが暮らしている地球 大気圧:1気圧の場合です。

地球上では下のように大気圧があるので、常温では抑えられているため100℃にならないと蒸気になりません。

f:id:Uchu-Channel:20180104215335p:plain

宇宙空間は真空なので気圧がありません。気体になるのをおさえる圧力がないので、体の水分は蒸発してどんどん蒸発して奪われていきます。口を開けているので、一番早く蒸発をかんじるのは口の中の水分、特に敏感な舌の水分の蒸発を感じます。

 

では、体の中の血液は気化しないのか?というとそうではありません。人の最低血圧って80mmHgぐらいですね。その血圧が:47mmHgぐらいまで下がると血液が沸騰(圧力が低い為、気体になりはじめようとする)してきます。

なので、そこまで血圧が下がった状態になると血液などが気化しはじめるので、体に気体がどんどんたまってきて、膨張します。およそ2倍くらいに膨れ上がりますが、皮膚や血管はその膨張に耐えられるので破裂ということはありません。

 

また、②の″凍死”するというものですが、たしかに宇宙空間は絶対零度:マイナス273℃です。ただし、宇宙には空気がありません。なので、暑い寒いがそもそもないのです。

”寒い!”と感じるのは体の熱を奪うものがあるので、そう感じます。真冬にTシャツ1枚で外にでたら”寒い”と感じるのは、外の空気が体の熱をうばうからですね。

ちなみに宇宙服は宇宙飛行士が生命を維持するため、密閉されています。体から発する熱がにげるところがないので、体温が上がりすぎないように冷却装置(チューブに水を流し冷却)がついています。

f:id:Uchu-Channel:20180104224455p:plain

 

私、宇宙ちゃんねるが考えていた宇宙線でやられてしまう”ですが、太陽などの恒星の近くでは当然、その熱で死んでしまいます。宇宙空間では有害な宇宙線 放射線の一種が飛んでいて、それをあびることになります。

即座に死に至るということではないです。ただ、放射線なのである被ばく量を超えると人体に悪い影響を及ぼすことになります。

 f:id:Uchu-Channel:20180107001204p:plain

この宇宙線の被ばくは今後の宇宙活動での課題です。惑星探査というと何年もかかります。その間、宇宙線を浴び続けることは間違いなく人体に影響します。

放射線により人の遺伝子が破壊されるので、累積されると”がん”などの病気を発症するかリスクが高くなります。

これからは”いかに宇宙線を浴びないようにできるか”が重要になってくるのではないかと思います。

と考えると放射線を完全に通さない宇宙服が必要ですね。よく言われるのが鉛は放射線を遮断するのによくつかわれますが、ある程度の厚さ:10センチくらいないと防げません。さすがに10センチを全身にまとうことはきびしいです。

なぜ鉛などがよくつかわれるかというと、放射線はそれ自身が持つエネルギーを透過する物質に与えて、エネルギーを失います。

エネルギーは物質のもつ電子にあげるようになります(中性子線以外)電子をいっぱい持つのは密度が高い物質になります。

鉛はその中でも密度が高く安いのでよく使われるのです。密度は1立方センチメートル当たり:11gほどです。ちなみに金は19gともっと重いです。金の延べ棒は見た目の大きさより重いのはそのためです。

でも、さすがに金は高すぎて使えませんね。

なので、今後は放射線のエネルギーをより多く奪う新しいもの②宇宙放射線がよけていく方法が必要です!

①では単位体積あたり、電子をより多く持っている物質、かつエネルギーをもらいやすい物質の開発をしていく必要があるのだと思っています。

f:id:Uchu-Channel:20180107110933p:plain

②では地球が磁場で有害な放射線から守られているように人の周りに強力な磁場を発生させて宇宙線が人の体をよけていくようにする

これから始まる長期の”宇宙の旅”では必ず対策が必要ですね。