日本の人工衛星たち
明日10/10の朝はH2Aロケットで準天頂衛星”みちび4号機”が打ち上げ予定です。
この”みちびき4号機”は測位衛星とよばれるもので、世の中でも有名なアメリカでつくられたGPS:Global Positioning System (グローバルポジショニングシステム)の日本版を目指しているものです。ちなみにこの4機のみちびきで一旦GPSの体制は完成します。
(みちびき4号機)
ここで、人工衛星で間違いなく人間の生活にやくだっていると思うけど、具体的にどうやくだっているの?というのを整理してみたいと思います。宇宙ちゃんねるも人工衛星を上げる側なので、さまざま人工衛星ががあると正しく理解していないこともあると思うので。
人工衛星には技術開発/試験衛星、科学衛星、通信/放送衛星、気象/地球観測衛星、測位衛星、宇宙実験衛星にカテゴリー分けされます。
”技術開発/試験衛星”
人工衛星新しい技術を確認するための人工衛星です。いまでは当たり前のように
人工衛星についている太陽電池パネルもはじめは技術衛星で打上げでその有効性を
確認していました。
最近では通信衛星の高速大容量化の需要に対応できる大電力、大容量の技術試験衛星の開発がすすめられていて2021年の打ち上げを予定しています。通信衛星はCommuications Satelite :コミニュケーションサテライト、略してCSです。あの衛星放送のCSです。これからより、世界各国との番組とのやりとりは増えてきそうですよね。
なので、大容量化が必要なわけですね。
(技術試験衛星)
また、2010年には 小型ソーラー電力セイル実証機 ”IKAROS(イカロス)”が
打ち上げられています。目的は太陽の光をセイル:帆でうけて進むことを実証し、
セイルに貼り付けた薄膜太陽電池で太陽光発電の実証も行いました。この方式だと
衛星を動かすためのエネルギーは太陽光ですので、燃料が不要というところが画期的です。遠い宇宙では燃料の問題は必ずあるので、永久的につかえる太陽を含めた恒星の
光のエネルギーを使うことができるのです。
ちなみにこのソーラーセイルの推進する原理は”太陽の光子”がセイルに当たって反射するときに生じる反作用にとって動くのです。
(イカロス)
(出典:JAXA)
IKAROSをうちあげているのはISAS:宇宙科学研究所で今はJAXA:宇宙航空開発機構と統合されましたが、未来につながるおもしろい&わくわくする衛星をうちあげるのは
ISASなんですね。
次回は他の種類で未来を役立つ、世の中に役立つ衛星について書いていきたいと思います。
宇宙のふしぎ 宇宙は無重力じゃない↺
宇宙に行くと無重力体験ができる!よく、宇宙の映像で映し出される
宇宙船の中でふわふわ浮いている映像です。
そう、確かに宇宙に行くと”無重力体験”はできます。
しかし、宇宙は”無重力”ではないのです。
そのしくみは・・・・
その”無重力の空間”はハンマー投げの選手がぶんぶん振り回すハンマーと同じ。
ハンマー投げの選手は
こんな感じで自分も回転しながらハンマーをぐるぐる回していますね。
(ここはやっぱり室伏さん)
その時、ハンマーにはこんな力が掛かっています。
回転運動をしているハンマー投げの選手はハンマーをまわしている時、強烈にハンマーに引っ張られますね。でも、選手はその力に負けないないように踏ん張り、ぶんぶんとハンマーをまわしています。その回転しているときに引っ張られる力が”遠心力”になります。そして、その遠心力に負けないようにハンマーを持ち続ける力が″求心力”です。そして互いの力は同じなので、つりあった状態になり回り続けるのです。
そして、これが地球の周りをまわっている宇宙船や宇宙ステーション
の中でも同じことがおきています。この場合の”求心力”は”地球の重力”になります。
そして、宇宙船や宇宙ステーションは地球の周りを回転する上でいうハンマーなので、
引力と遠心力が釣り合った状態、つまり力が何もかかっていない状態になります。
なのでその場所にいる人はふわふわと浮いているのです。
ちなみにその重力は地上にいる場合の88%の重力を受けているので、仮にこの遠心力がなかったらすぐに地球に落っこちてしまいますね。
そして、この釣り合った状態にはそれをつくりだす速度(スピード)が必要です。
ハンマー投げも回転のいきおいがないとぶんぶんまわらず、ハンマーは地表におちてしまいますよね。
あと、遠心力でよく使われる例だと、水を入れたバケツをぶんぶん振りまわした時、
水はこぼれないのもおなじ”求心力と遠心力のつりあい”で水がこぼれてこないのですが、まわすいきおいがなくなると途端に水はこぼれてきますよね。
なので、地球の周りを回る宇宙船や宇宙ステーションもその速度(スピード)が重要で
早くもなく遅くもないちょうどよい速度ですすないといけないのです。
(ちなみに速すぎると、地球の重力とつり合いが取れなくなり、宇宙に飛んで行ってしまいます!)
世の中にもこの現象は何か当てはまりますね。
”ともだちとの関係”や”お仕事と家族”も”バランス(調和)”が大事なのだと
いうことですね。
宇宙飛行飛行士になるには その② ”ひとの輪にはいって、みんなとうまくやっていくこと”は大切です!
宇宙飛行士なると、アメリカ、ロシア、ヨーロッパなどいろんな国の宇宙飛行士と宇宙ステーションという限られた空間で、長く共に暮らしていくことになります。
(今は常時6名程度が滞在しています。)
そういったことを考えると”宇宙飛行士になるには何が大切か”がわかってきますね。
そうです、他の人とうまくやっていく協調性や人を信頼すること、人を敬うことが必要になってきます。
学校やいろんなスポーツなどでみんなと一緒にやっていくことの機会は多いと思います。そういったときにみんなと一緒になかよくをやっていくことや時にともだちを助けたりすることは将来、宇宙飛行士になるためにはとても大切なことなのです。
そして、その中でも宇宙ステーションや未来の宇宙船の船長(キャプテン)になりたいと思っている場合は、みんなをまとめていく力も必要です。なので、キャプテンになりたいとおもっている人は学級委員であったり、スポーツチームに入っているのであればそこでキャプテンになったりで経験を積むことが大事です。
はじめはうまくいかないかもしれません。でも、いろんな経験をしてなんとかみんなをまとめていくことができたら、少し宇宙ステーションや未来の宇宙船のキャプテンに近づけるのではないかと思います。経験はみんなをキャプテンに近づける一番の近道ですね。
宇宙チャンネル自身もまだまだですが、人をまとめていく立場にあります。
年も20代~60代までさまざまな人とやっています。年齢に関係なく
相手の気持ちのことを考えてやっていく、それと同時にあること(きびしいことでも)を決断していくという判断力も必要だと経験して思っています。
そんな経験も、未来、宇宙に行くときに役立つことになるんだとときどき
思いながらやっています。
【2017】夏休み自由研究!夏休みの終わりに月のとなりにくる木星と土星をみよう!
今日(8/12)は宇宙イベントが重なりました。
宇宙の仕事に”何か”を残してみませんか?(宇宙ビジネスアイデア募集の案内です。)
今、JAXAさんのほうで、宇宙にある人工衛星・宇宙ステーションでの有人宇宙活動・
宇宙輸送(ロケット打ち上げ技術など)の技術やそこで得られた衛星データなどを利用したビジネスアイデアが7/18まで募集されています。
これらを利用したものであれば何でもいいです。
そうはいっても、
・実現性ができそうか
・そのビジネスアイデアに発展性があるか。
というのは審査ポイントになります。あと書いてあるのは″革新性”が
あるかという点です。
宇宙チャンンル的にはこの中で”発展性”がもっとも重要かと思っています。
発展性とはビジネスとして開花するということです。商売として需要(ニーズ)があるということですね。それがないといくら実現できても、斬新でもビジネスとして
成り立ちませんからね。
例でいうと数年前、3Dテレビというのが発売されていたと思いますが、最近はめっきり聞きませんね。購入する人が”家で3Dで画像を見る”ということまで望んでいなかったのだと思います。迫力のある映像は家の小さなテレビではなく、大画面の劇場で、他の多くの人と一緒に見ながら、”驚き”や”感動”を共有できるということがニーズだったのだと思います。
そう思って考えましたら、うーん、宇宙チャンネルの場合は、既存の宇宙技術やビジネスが脳みそを邪魔してあまり革新的なものが浮かんでいないです。
・人工衛星のリモート技術を利用した子供さんや高齢の方の安全確保・追跡サービス
(要はいつでもその人がどこにいるかわかるようになったら安心が得られるような)
・人工衛星の情報をもとにした”最短ルートナビ”
(リアルタイムで交通状況をつかみ最適な経路を教える。効率的な時間の使い方ができる)
など、思いつきそうなものばかりで...
なぜ、宇宙ビジネスがなかなか活性化できていないかを考えて宇宙ビジネス案を作り出した方が良さそうです。
・コストが高い。(相乗り衛星でも数億円はかかる)
・様々な規制がある。(打ち上げ期間、場所、安全など)
そして、未来がどうなるか(どうなってほしいか)と想像して考える。
・誰でも宇宙へいける。
・宇宙への遥かなる旅ができる。
・宇宙の資源がエネルギー問題を解決できる。
・宇宙でできた成分が新薬になる。
・宇宙への輸送技術が地上の輸送に転換され劇的に移動時間が短縮される。
(”2001年宇宙の旅”より)
ここから少し考えてみようと思います。
皆さんもいいビジネスアイデアがあったらぜひ応募してみてください🚀
宇宙業界への就職マニュアル (ちょっと番外編)
(出典 JAXAさんより)
ロケットの作り方 第3弾(ノズルとは?)
(JAXAさんより引用)
Made in Japanの宇宙旅行は?
流れ星(shooting star)は今日が一番見れそうです!
なぜ ”はやぶさ、はやぶさ2”の再突入カプセル”は大気圏で燃えずに地球に帰還できるのか?
小惑星”リュウグウ”の地表の物質を採取できたはやぶさ2。帰還予定は今年の12月、意外とあっという間に近づいてきました。もう今年です。
地球に戻ってくるときは”大気圏突入!”でも燃えないのはなぜかをご存知ですか?
ここは”はやぶさ”で大成功したので”はやぶさ2”でもほぼ改良しなかった点でした。
僕はこの”はやぶさ2”の開発の一部にかかわったので、そんなお話をしていきたいと思います。
大気圏再突入は超高温
はやぶさカプセルは1万℃まで上がる
サンプルを地球再突入時に守るのが、僕も製作にたずさわった再突入カプセル。
宇宙との境目,高度100kmで”大気圏突入”し、そこからは空気が存在してくるので空力加熱により地表に戻ってくるものは超高温にさらされるという現象がおきます。
※ ちなみに”大気圏”という言葉の意味は、対流圏→成層圏→中間圏→熱圏と僕たちが住んでいる地表から高度400kmほどの熱圏までを示しています。なので、100kmより高い位置でも大気圏なのですが、空気による加熱が始まるところを”大気圏突入”と呼んでいます。
温度の上がり方はスピードと高度で決まってくる
ちなみにはやぶさは1万℃ですが、宇宙飛行士が地球に帰ってくるときに使用されるロシアのソユーズでは約1500℃
この温度は再突入するものの速度と高度によって決まります。
カプセルが燃えずに帰ってこれる3つの理由
カプセルの素材は炭素の繊維
この材料、すでに焼かれ炭素になっているので熱にはもちろん強い、そうはいっても耐えられるのは数千℃まで。
この炭素繊維が”燃えない”カギとなっている
固めたばかりは割れていなくても、時間が経ったり、削ったりすると内部の力が外にでてきて”割れていた”なんてことがあるので、温度と圧力の条件をいろいろ変えてベストのものを導いていきます。トライ&エラーを繰り返すわけですね。
そんな風にして作られるカプセルは3つの理由で燃えることなく戻ってくる。
小惑星が衝突したらどうなるか?
そんな、小惑星の落下、予測できるのは2割程度。
宇宙業界への就職マニュアル その④
ジェット機もビジネスもエンジン1機でも飛ばないといけない?
”空”と”宇宙(そら)”を飛ぶ飛行機とロケットは共通点は多くあるので、本日はちょっと
ジェット機で。
共通点の一つはどちらもなるべく燃料を少なく効率的に飛べるようにより軽く・強く
作るわけですが、ブログにも何度か書いている同じ”繊維強化プラスチック(FRP)”が
同じような構造で作られている部分があります。ジェット機のファンの部分となる
円筒形の筒は、ロケットとの胴体としても使われているんです。
”ジェット機はエンジン1機でも飛ばないといけない?”
ですが、国際的な取り決めでエンジン1機でも飛べなくてはいけないというのが
決まっています。
ロケットはもちろん、鉄道などもある箇所が壊れても、動き続けるようにしておく
”冗長性”を持たせるというのが当たり前となっています。宇宙チャンネルは
この”冗長性”というなんか言葉が好きです。サブシステムという言葉でもいいですね。
これはビジネスでも当てはめていく必要があると思っています。
最近の例でいうと北海道のジャガイモ不作の問題。
スーパーの店頭からポテトチップスの在庫がなくなっていることが起きています。
もし、ポテトチップを作っているあるメーカーが”100% 北海道産ポテト”でしか
作っていなかったら、そのメーカーは途端に製造ができなくなくなり、スーパーに
ポテトチップスを並べることができなくなってしまいますね。
なので、ビジネスでもこの”冗長性”が必要です。ビジネスではポートフォリオという
言葉が使われます。
ただし、扱うものはなんでもよいというものではありません。
大きなテーマはブレてはいけません。
例えば、街の写真屋さん。
主な収入源は近くの学校などの公共施設の集合写真や卒業アルバムなどの写真撮影です。子供人口はどんどん減っているので、小学校なども統合や閉校が進んでいて先細りです。
一方、カメラ女子など一眼レフでカメラ撮影などはずいぶん普及しています。
そこで、もともと”プロ”である街の写真屋さんが、”プロのような写真を撮る技術”をセミナーや講座を行ったらどうでしょう。また、レジュメにや動画にして、インターネットを通じて、全国の人にアプローチしていくなども展開をしていくこともできると思います。
このように”撮影技術”という一貫したテーマで仕事の幅”冗長性”を作っていくということはビジネスでも、大切だと感じています。
ただし、根底には”確かな実力”があった上で成り立つものですね。
ロケットもジェット機もビジネスも!
宇宙業界への就職マニュアル その③